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【第34話】選ばれる理由を作る戦略|ITパスポート 令和7年度 問35

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第34話|第2部 場所:祖父母の家・田舎

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

祖父母の家・田舎

今日の問題

今日の問題

マーケティング戦略の策定プロセスのうち、自社製品の差別化ポイントを明確にするものはどれか。

  • セグメンテーション
  • プロモーション
  • ターゲティング
  • ポジショニング

第1幕:また来たの

あの日から、五日が経っていた。

拓也は、週末を待って、また同じ在来線とバスを乗り継いでいた。今度は事前に、一言だけ連絡を入れてある。「また週末、行っていい?」に、既読だけがついて、返事はなかった。それでも、拓也は向かった。

バス停から歩いていくと、庭先の畑で、美咲がしゃがみ込んでいるのが見えた。祖母と並んで、収穫した野菜をかごに入れている。

美咲

美咲

……あ

拓也に気づいて、美咲は少しだけ気まずそうな顔をした。けれど、前回のような刺々しさはなかった。

美咲

美咲

……また来たの

拓也

拓也

うん。連絡したのに返事くれないから、来るしかなかった

美咲

美咲

べ、別に、無視してたわけじゃないから。忙しかっただけ

祖母が「あら、この前の彼氏ちゃんね」と笑いながら口を挟んでくる。美咲が「彼氏じゃないから!」と、慌てて否定した。その慌てぶりが、五日前よりずっと元気そうに見えて、拓也は少しだけ安心する。

第2幕:選ぶお客さんを決める話でしょ

縁側に戻り、いつもの位置に二人で座る。祖母が持ってきてくれた麦茶を飲みながら、拓也はノートを広げた。

拓也

拓也

今日の問題、これなんだけど

美咲

美咲

マーケティング戦略ね。……あ、これでしょ。『ターゲティング』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、"差別化ポイントを明確にする"って、要は"どのお客さんを狙うか"を決める話じゃない。ターゲットを絞り込むからこそ、他と違うところが見えてくる、みたいな

拓也

拓也

発想は近いんだけど、実は"狙う相手を決める"のと、"その相手に対して何をアピールするか"は、別の工程なんだ

第3幕:隣の直売所との違い

拓也は、縁側から見える庭先の直売所の看板に目をやった。祖母が育てた野菜を、時々近所に売っているらしい。

拓也

拓也

たとえば、おばあちゃんが野菜を売るとするよね。マーケティングの流れって、だいたいこの3段階なんだ

拓也

拓也

まずセグメンテーション。お客さんを『健康志向の人』『子育て世代』みたいに、グループに分ける。次にターゲティング。その中から『今回は健康志向の人に売ろう』って、狙う層を決める

美咲

美咲

うんうん、そこまでは合ってたのね

拓也

拓也

そして最後がポジショニング。『じゃあ、隣の直売所と比べて、うちの野菜は何が違うのか』を、はっきりさせる工程。『無農薬だから』とか『朝採れだから新鮮』とか、差別化ポイントを明確にするのが、このポジショニングの役目なんだ

美咲

美咲

あ……!  "誰に売るか"を決めるのがターゲティングで、"何が違うから選ばれるのか"を決めるのがポジショニング、ってことね

拓也

拓也

そのとおり。今日の問題が聞いてるのは、"自社製品の差別化ポイントを明確にする"工程。だから正解はエのポジショニング

美咲

美咲

似たようなカタカナが並ぶと、つい混同しちゃうわね

第4幕:ゆっくりでいいから

説明が一区切りついたところで、美咲がぽつりとつぶやいた。

美咲

美咲

……ねえ。私、まだ、東京に戻る自信、あんまりないんだけど

拓也

拓也

うん

美咲

美咲

でも、このままずっと、ここにいるわけにもいかないのはわかってる

拓也

拓也

別に、急がなくていいよ。おばあちゃんの野菜、美味しいし

美咲

美咲

……そういう話じゃないんだけど

美咲は、少し呆れたように笑った。五日前には見られなかった表情だった。

拓也

拓也

無理に急かすつもりはない。ただ、勉強のほうは、こうやって続けられるから。美咲の準備ができるまで、俺はここに通うだけだし

美咲

美咲

……律儀よね、あんたも

拓也

拓也

褒めてる?

美咲

美咲

さあ、どうかしら

素っ気ない言い方だったけれど、声にはさっきまでよりも、少しだけ張りが戻っていた。

第5幕:残りの選択肢を片付ける

気を取り直して、美咲がノートを覗き込む。

美咲

美咲

じゃあ、残りのも教えて

拓也

拓也

アのセグメンテーションは、さっき言ったとおり、市場を属性ごとのグループに分ける工程。年齢とか、ライフスタイルとか、いろんな切り口で分類するんだ

美咲

美咲

イの『プロモーション』は?

拓也

拓也

プロモーションは、広告とか宣伝活動そのもののこと。決めたターゲットに向けて、どうやって知ってもらうか、買ってもらうかを考える工程。今日の"差別化ポイントを明確にする"とは、また別の話

美咲

美咲

セグメンテーションで分けて、ターゲティングで狙いを絞って、ポジショニングで差別化を決めて、プロモーションで届ける。……4つとも、順番があるのね

拓也

拓也

いい整理。この流れ、"STP"って略して呼ばれることもあるんだ。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの頭文字

問題文(再掲)

マーケティング戦略の策定プロセスのうち、自社製品の差別化ポイントを明確にするものはどれか。

  • セグメンテーション
  • プロモーション
  • ターゲティング
  • ポジショニング

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
セグメンテーション(市場を属性ごとに分ける)不正解
プロモーション(広告・宣伝活動)不正解
ターゲティング(狙う顧客層を決める)不正解
ポジショニング(自社製品の差別化ポイントを明確にする)正解

答えエ ポジショニング

覚え方のコツ

「誰に売るか」はターゲティング、「何が違うから選ばれるか」はポジショニング。

エピローグ

夕方、拓也がバス停へ向かう時間になった。今日も、美咲がバス停まで一緒に歩いてついてきた。

美咲

美咲

……次、いつ来るの

拓也

拓也

来てほしい?

美咲

美咲

べ、別に、そういうわけじゃ……ただ、来るなら来るで、ちゃんと日にち教えてって話

拓也

拓也

わかった。じゃあ、来週も

美咲

美咲

……勝手に決めないでよね。まあ、いいけど

バスが近づいてくる音が、遠くから聞こえてくる。

美咲

美咲

あんたが来るたびに、なんか、変な野菜のお土産持たされそうね

拓也

拓也

それはそれで、楽しみにしとく

美咲

美咲

あんたって、変なとこ図太いわよね

拓也

拓也

よく言われる

バスに乗り込む拓也を、美咲はまっすぐこちらを向いて見送っていた。表情は、まだ完全にはいつもの調子に戻っていない。それでも、少しずつ、元の美咲が戻ってきているのがわかった。

今日のポイントおさらい

  1. ポジショニング=自社製品の差別化ポイントを明確にするプロセス
  2. セグメンテーションは市場を属性ごとに分けること、ターゲティングは狙う顧客層を決めること
  3. プロモーションは広告・宣伝活動そのもので、差別化とは別の工程
  4. セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの流れは、頭文字からSTPと呼ばれる
  5. 似たカタカナ用語は、マーケティングの流れのどの段階の話かで整理すると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和7年度 問35(ストラテジ系/経営戦略マネジメント)の解説です。

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