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【第36話】保証します、とか言うな|ITパスポート 令和7年度 問9

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第36話|第2部 場所:拓也の家

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

拓也の家

今日の問題

今日の問題

ハッカソンに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 定められたルールの下、ある主題について、肯定派と否定派といった異なる立場に分かれて議論する。
  • 情報セキュリティ分野で活躍したいという志志をもった若者が、合宿形式で情報セキュリティに関する実践的な知識を学ぶ。
  • プログラマーやデザイナーなどから成る複数の参加チームが、与えられたテーマに関するプロトタイプを短期間で作成し、その成果を発表して競い合う。
  • 問題解決や利用者獲得などゲーム的な要素のない分野に、デジタル技術を活用したゲームの要素を取り入れることによって、利用者の参加を動機づける。

第1幕:久しぶりの、散らかった部屋

東京に戻ってから最初の週末。美咲は、久しぶりに拓也の家を訪れていた。相変わらず、自作PCのパーツやケーブルが床に散らばっている。

美咲

美咲

相変わらず、足の踏み場もないわね

拓也

拓也

ごめん、今片付けるから

棚の隅に、見慣れない盾のようなトロフィーが置いてあるのに、美咲が気づく。

美咲

美咲

……何、これ

拓也

拓也

あ、それ、大学のときに出たコンテストの賞。見せたことなかったっけ

美咲

美咲

初めて見たわよ。何のコンテスト?

拓也

拓也

今日の問題、ちょうどそれに関係あるやつなんだ

第2幕:ハッカーの合宿でしょ、それ

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『情報セキュリティ分野を学ぶ合宿』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、"ハッカソン"って、"ハッカー"って単語入ってるじゃない。セキュリティを破る人、みたいなイメージだったから、セキュリティ系の合宿かと思ったのよね

拓也

拓也

その発想、すごくよくある勘違いなんだ。でも実は"ハッカソン"の"ハッカ"は、不正アクセスする"ハッカー"の意味じゃないんだよ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。もともとは、プログラムをいじって何かを作ることに熱中する"hack"という言葉と、"marathon(マラソン)"を組み合わせた造語なんだ

第3幕:短期集中の、耐久レース

拓也は、棚のトロフィーを手に取った。

拓也

拓也

これ、大学1年のときに出たハッカソンの賞なんだ。土日の2日間、チームでこもりっきりになって、アプリのプロトタイプを一つ作り上げる、っていうイベント

美咲

美咲

2日間で、アプリを1個? そんなに早くできるものなの?

拓也

拓也

完成品じゃなくて、あくまで"プロトタイプ"でいいんだプログラマーやデザイナーが集まって、与えられたテーマに沿ったプロトタイプを短期間で作って、最後に発表して競い合う。これがハッカソンの正体

美咲

美咲

あ……!  だから"マラソン"なのね。長時間、集中して作り続けるから

拓也

拓也

そのとおり正解はウ。"ハッカソン=短距離走じゃなくて、短期集中の耐久レース"って覚えるとわかりやすいよ

美咲

美咲

セキュリティの話だと思ってたけど、全然違う世界だったのね

第4幕:保証します、とか言うな

拓也

拓也

にしても、美咲がまたこうやって普通に勉強しに来てくれて、俺、正直すごいほっとしてる

美咲

美咲

……そう?

拓也

拓也

うん。この調子なら、次は絶対大丈夫だと思う。同じ分野を2回連続で落とす人って、統計的にはほとんどいないらしいから

美咲の表情が、すっと固まった。

美咲

美咲

……は?  その"ほとんどいない"の中に、私が入ったらどうすんのよ

拓也

拓也

あ……いや、そういう意味じゃなくて

美咲

美咲

今、私にプレッシャーかけてるって自覚ある?  "統計的に大丈夫"とか言われても、何も安心できないんだけど

拓也

拓也

……ごめん。励ましてるつもりだったんだけど、逆効果だったな

美咲

美咲

そうよ。数字とか確率の話じゃなくて、ただ、そばで見ててくれるだけでいいのよ、こういうときは

拓也

拓也

……うん、わかった。次から気をつける

美咲は、まだ少し頬を膨らませていたが、それ以上は追及しなかった。

第5幕:残りの選択肢を片付ける

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えてよ

拓也

拓也

アは、ディベートの説明。賛成派と反対派に分かれて、ルールに沿って議論を戦わせる形式。プロトタイプを作る話じゃなくて、"議論"がテーマなんだ

美咲

美咲

エは?

拓也

拓也

エは、ゲーミフィケーション。本来ゲーム的な要素がない分野に、ポイント制とかランキングみたいなゲームの要素を取り入れて、参加者のやる気を引き出す手法のこと。勉強にスタンプカードをつけるようなイメージかな

美咲

美咲

じゃあ、私たちの勉強会にも、ゲーミフィケーション取り入れる?

拓也

拓也

……それ、いいかもしれない。問題正解したらポイントためるとか

美咲

美咲

今のなし。あんたが変に張り切りそうだから

問題文(再掲)

ハッカソンに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 定められたルールの下、ある主題について、肯定派と否定派といった異なる立場に分かれて議論する。
  • 情報セキュリティ分野で活躍したいという志志をもった若者が、合宿形式で情報セキュリティに関する実践的な知識を学ぶ。
  • プログラマーやデザイナーなどから成る複数の参加チームが、与えられたテーマに関するプロトタイプを短期間で作成し、その成果を発表して競い合う。
  • 問題解決や利用者獲得などゲーム的な要素のない分野に、デジタル技術を活用したゲームの要素を取り入れることによって、利用者の参加を動機づける。

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容対応する用語正誤
賛成派・反対派に分かれて議論するディベート不正解
合宿形式でセキュリティを学ぶセキュリティ研修・合宿不正解
短期間でプロトタイプを作り、発表して競うハッカソン正解
ゲームの要素で参加者の意欲を高めるゲーミフィケーション不正解

答えウ プログラマーやデザイナーなどから成る複数の参加チームが、与えられたテーマに関するプロトタイプを短期間で作成し、その成果を発表して競い合う

覚え方のコツ

ハッカソンは、短距離走じゃなくて短期集中の耐久レース。

エピローグ

散らかった部屋の片付けを手伝いながら、美咲がぽつりと言う。

美咲

美咲

さっきは、ちょっと言い過ぎたかも

拓也

拓也

いや、俺が変なこと言ったのが悪い

美咲

美咲

……でも、心配してくれてたのはわかるから。それだけは、ちゃんと伝わってる

拓也

拓也

うん

美咲

美咲

今度から、励ますときは、変な数字とか出さないでよね

拓也

拓也

肝に銘じます

美咲は、トロフィーを棚に戻しながら、ふと笑った。

美咲

美咲

今度、私にもハッカソンってやつ、見せてよ。どんな感じで作るのか、見てみたい

拓也

拓也

今度チーム組むとき、誘おうか?

美咲

美咲

……本気にしないでよ。ただの興味本位だから

そう言いながらも、美咲は少し楽しそうに、トロフィーを眺めていた。

今日のポイントおさらい

  1. ハッカソン="hack"+"marathon"の造語で、短期間でプロトタイプを作り発表して競うイベント
  2. セキュリティの"ハッカー"とは無関係。混同しやすいが別の概念
  3. ディベートは賛成・反対に分かれて議論する形式
  4. ゲーミフィケーションは、ゲーム的要素のない分野にゲームの要素を取り入れて動機づける手法
  5. 名前が似ている用語ほど、"何が本質か"を一言で説明できるようにすると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和7年度 問9(ストラテジ系/技術戦略マネジメント)の解説です。

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