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【第38話】文字をデータに変える技術|ITパスポート 令和6年度 問59

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第38話|第2部 場所:プール

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

プール

今日の問題

今日の問題

OCRの役割として、適切なものはどれか。

  • 10cm程度の近距離にある機器間で無線通信する。
  • 印刷文字や手書き文字を認識し、テキストデータに変換する。
  • デジタル信号処理によって、人工的に音声を作り出す。
  • 利用者の指先などが触れたパネル上の位置を検出する。

第1幕:屋内プールで、涼みながら

真夏の日差しを避けて、二人は屋内温水プールに来ていた。勉強会というより、避暑を兼ねた息抜きに近い。受付では、紙の健康チェック表に記入したものを、係員がスキャナのような機械にかざして読み取らせていた。

美咲

美咲

あれ、何してるの?

拓也

拓也

あ、手書きの用紙を、自動でデータに変換してるんだと思う。今日の記事にちょうどいいネタだ

美咲

美咲

相変わらず、息抜きに来てもそういうとこ目に入るのね

拓也

拓也

職業病みたいなものだから

更衣室から出てきた美咲を見て、拓也が一瞬固まる。

拓也

拓也

……あ、その、うん

美咲

美咲

なによ、その反応

拓也

拓也

い、いや、なんでもない!  問題、やろっか!

第2幕:ロッカーの鍵をかざすやつでしょ

プールサイドのベンチに座り、拓也はノートパソコンを開いた。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『近距離無線通信』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、さっきの受付の機械、ロッカーの鍵をピッとかざすタイプの読み取り機と、見た目似てたから。ああいう"かざして読み取る系"の機械の話なのかなって

拓也

拓也

発想としてはわかるけど、実は"かざして読み取る"仕組みと、"文字を読み取る"仕組みは、まったく別物なんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。アの説明は、NFCみたいな近距離無線通信のこと。ロッカーの鍵や交通系ICカードで使われてる技術。OCRは、それとは仕組みも役割もまったく違うんだ

第3幕:手書きの文字を、データに変える

拓也は、受付の方をちらりと見た。

拓也

拓也

さっきの受付の機械、あれこそがOCRの実例なんだ

美咲

美咲

え、あれもOCRだったの?

拓也

拓也

うん。OCR(光学文字認識)は、印刷された文字や手書きの文字を機械が認識して、テキストデータに変換する技術。紙に書いた健康チェック表を、自動で入力データに変えてくれるのも、その一例

美咲

美咲

あ……!  "かざして読み取る"のは同じでも、"何を読み取ってるか"が全然違うのね。鍵は電波、こっちは文字

拓也

拓也

そのとおり正解はイ。『印刷文字や手書き文字を認識し、テキストデータに変換する』が、OCRの役割そのものなんだ

美咲

美咲

なるほど……。似たような"読み取る系"の技術でも、中身は全然違う仕組みが動いてるのね

第4幕:目のやり場に困る

美咲

美咲

そういえば、さっきから何、挙動不審なのよ

拓也

拓也

い、いや、別に

美咲

美咲

……もしかして、水着のこと気にしてる?

拓也が、露骨に目を逸らす。

拓也

拓也

その、なんというか、目のやり場に困るというか……

美咲

美咲

な、なによそれ!  あんた、そんなにジロジロ見てたの!?

拓也

拓也

見てないよ!  いや、見てないようにしてたけど、視界には入るというか……

美咲

美咲

気持ち悪いこと言わないでよ!  あっち向いてなさいよ、しばらく!

拓也

拓也

す、すみません……

拓也は、素直にプールの反対側に体を向けた。美咲は、真っ赤な顔のまま、しばらく拓也を睨みつけていた。

美咲

美咲

……もう、次からは、ちゃんと自然に振る舞いなさいよね。こっちまで意識しちゃうでしょ

拓也

拓也

善処します

第5幕:残りの選択肢を片付ける

気を取り直して、拓也はまたノートに向き直った。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

ウは、音声合成(テキスト読み上げ機能など)の説明。デジタル信号処理で、人工的に声を作り出す技術。文字を読み取るOCRとは、むしろ逆方向の技術なんだ

美咲

美咲

逆方向?

拓也

拓也

うん。OCRは"画像や手書き文字→テキストデータ"、音声合成は"テキストデータ→音声"。矢印の向きが逆なんだ

美咲

美咲

じゃあ、エは?

拓也

拓也

エは、タッチパネルの説明。指が触れた位置を検出する仕組み。これも、文字認識とはまったく別の技術

美咲

美咲

近距離無線通信、文字認識、音声合成、タッチ検出。……全部"機械がなにかを読み取ったり作り出したりする"技術だけど、それぞれ扱ってるものが違うのね

拓也

拓也

完璧な整理。似たような場面で使われがちな技術ほど、"何を入力にして、何を出力してるか"を意識すると、区別しやすくなるよ

問題文(再掲)

OCRの役割として、適切なものはどれか。

  • 10cm程度の近距離にある機器間で無線通信する。
  • 印刷文字や手書き文字を認識し、テキストデータに変換する。
  • デジタル信号処理によって、人工的に音声を作り出す。
  • 利用者の指先などが触れたパネル上の位置を検出する。

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容対応する技術正誤
10cm程度の近距離で無線通信するNFCなど近距離無線通信不正解
印刷・手書き文字を認識し、テキストデータに変換するOCR正解
デジタル信号処理で人工的に音声を作る音声合成不正解
指先が触れたパネル上の位置を検出するタッチパネル不正解

答えイ 印刷文字や手書き文字を認識し、テキストデータに変換する

覚え方のコツ

OCRは、"文字"を"データ"に変える技術。

エピローグ

プールを出て、自動販売機で飲み物を買いながら、美咲がぽつりと言った。

美咲

美咲

……さっきのことだけど

拓也

拓也

あ、うん、ほんとにごめん

美咲

美咲

別に、いいのよ。ちょっとくらい意識してくれる方が、無視されるよりマシだし

拓也

拓也

……それ、どういう意味?

美咲

美咲

さあ、どういう意味かしらね

美咲は、そう言ってそっぽを向いたが、口元はわずかに緩んでいた。

拓也(……今の、期待していいやつなのかな)

美咲

美咲

なに黙り込んでるのよ。ほら、帰るわよ

拓也

拓也

うん

プールの帰り道、日焼けした肌に、涼しい風が心地よかった。

今日のポイントおさらい

  1. OCR(光学文字認識)=印刷文字・手書き文字を認識してテキストデータに変換する技術
  2. 近距離無線通信(NFCなど)は"かざして読み取る"点が似ているが、読み取る対象は電波であり文字ではない
  3. 音声合成は「テキスト→音声」で、OCRとは変換の向きが逆
  4. タッチパネルは「触れた位置の検出」技術で、文字認識とは別物
  5. 似た"読み取り系"の技術は、何を入力にして何を出力しているかで区別する

この記事はITパスポート試験 令和6年度 問59(テクノロジ系/ハードウェア)の解説です。

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