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【第41話】それは開発書ではなく取説|ITパスポート 令和6年度 問45

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第41話|第2部 場所:図書館

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

図書館

今日の問題

今日の問題

本番稼働後の業務遂行のために、業務別にサービス利用方法の手順を示した文書として、最も適切なものはどれか。

  • FAQ
  • サービスレベル合意書
  • システム要件定義書
  • 利用者マニュアル

第1幕:9月、図書館の自習コーナー

夏休みも終わりに近づいた9月の図書館。涼しい空調の効いた自習コーナーで、二人は久しぶりに落ち着いて勉強会をしていた。

美咲

美咲

そういえば、もう9月なのね。あっという間だったわ

拓也

拓也

うん。田舎から戻って、もう1ヶ月くらい経つのか

美咲

美咲

今日の問題、システム関連の文書の話ね

第2幕:仕様書に使い方も書いてあるんでしょ

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『システム要件定義書』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、要件定義書って、システムの仕様とか機能が全部書いてある文書でしょ。だったら、使い方もそこに書いてありそうじゃない

拓也

拓也

発想はわかるんだけど、実は"誰に向けて書かれた文書か"が、要件定義書と今回の問題の答えとで全然違うんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。要件定義書は、"このシステムに、どんな機能が必要か"を、開発する側に向けて定義する文書。実際にシステムを使う人が読むことは、あまり想定されてないんだ

第3幕:分厚い仕様書と、同梱の説明書

拓也は、隣の棚にある家電の取扱説明書コーナーを指さした。

拓也

拓也

たとえば、新しい家電を作るとき、メーカーの中では、分厚い"開発仕様書"が使われる。回路の設計とか、部品の細かい指定とか、開発者向けの専門的な内容がぎっしり書かれてる

美咲

美咲

うん

拓也

拓也

でも、私たちが家電を買ったときに箱の中に入ってるのは、それとは別の、薄い"取扱説明書"だよね。"このボタンを押すと、こう動きます"っていう、使う人向けの説明

美咲

美咲

あ……!  要件定義書が"開発仕様書"で、今日の問題の答えが"取扱説明書"みたいなものってこと?

拓也

拓也

そのとおり"業務別にサービスの利用方法の手順を示した文書"が、まさに利用者マニュアル正解はエ。要件定義書は開発側向け、利用者マニュアルは使う側向け、って覚えるとわかりやすいよ

美咲

美咲

なるほどね……。同じ"文書"でも、誰が読むためのものかで、全然違う中身になるのね

第4幕:本、借りすぎ

説明の合間、拓也は関連書籍を探しに書架へ向かっていた。しばらくして戻ってくると、両腕いっぱいに本を抱えている。

美咲

美咲

……ちょっと、何冊借りるつもりなのよ、それ

拓也

拓也

いや、システム開発関連の本、まとめて見ておきたくて。これとこれと、あとこっちも参考になりそうで……

拓也

拓也

うわっ

抱えていた本の山が、バランスを崩して数冊、床に崩れ落ちる。

美咲

美咲

ほら見なさい!  持てない量、抱えるからよ

拓也

拓也

面目ない……

美咲

美咲

あんた、興味あること見つけると、加減がわからなくなるのよね。全部読みきれるの、それ?

拓也

拓也

……正直、ちょっと自信ない

美咲

美咲

三冊くらいに絞りなさいよ。荷物にもなるし

拓也

拓也

……はい

床に散らばった本を、二人で一緒に拾い集めた。

第5幕:残りの選択肢を片付ける

本を厳選し終えたところで、美咲がノートを開き直す。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

アは、よくある質問と回答をまとめた文書のこと。"こういうときはどうすればいいか"を、Q&A形式でまとめたもの。手順を順番に示す利用者マニュアルとは、また性質が違う文書なんだ

美咲

美咲

イの『サービスレベル合意書』は?

拓也

拓也

イは、SLAとも呼ばれる文書。"どのくらいの品質・水準でサービスを提供するか"を、提供者と利用者の間で取り決めた合意書。可用性の目標値とか、対応時間とかが書かれてる。これも、"使い方の手順"を示す文書ではないんだ

美咲

美咲

要件定義書は開発側向けの仕様、SLAは品質の約束、FAQ的な文書はQ&A、利用者マニュアルは使い方の手順。……全部"文書"だけど、役割が全然違うのね

拓也

拓也

完璧な整理。文書の名前が出てきたら、"誰が、何のために読む文書か"を意識すると、区別しやすくなるよ

問題文(再掲)

本番稼働後の業務遂行のために、業務別にサービス利用方法の手順を示した文書として、最も適切なものはどれか。

  • FAQ
  • サービスレベル合意書
  • システム要件定義書
  • 利用者マニュアル

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
よくある質問と回答をまとめた文書不正解
サービスレベル合意書(SLA)不正解
システム要件定義書不正解
利用者マニュアル正解

答えエ 利用者マニュアル

覚え方のコツ

要件定義書は"開発仕様書"、利用者マニュアルは"取扱説明書"。

エピローグ

閉館時間が近づき、二人は借りる本を選び直した。拓也の手元には、最終的に3冊だけが残っている。

美咲

美咲

それでも、まだちょっと多い気がするけど

拓也

拓也

これでも、かなり絞ったんだけどな

美咲

美咲

まあ、いいわ。持てなくなって、また崩されても困るし

図書館を出ると、夕方の風が、夏よりだいぶ涼しくなっているのに気づく。

美咲

美咲

……なんか、季節変わってきたわね

拓也

拓也

うん。あっという間に9月だ

美咲

美咲

田舎から帰ってきて、いろいろあったけど……なんか、また少しずつ、前みたいな感じに戻ってきた気がする

拓也

拓也

うん、そう思う

美咲

美咲

……これからも、よろしくね

拓也

拓也

うん、こちらこそ

夕暮れの中、二人は並んで駅への道を歩いていった。

今日のポイントおさらい

  1. 利用者マニュアル=業務別にサービスの利用方法の手順を示した文書
  2. システム要件定義書は開発側に向けて必要な機能を定義する文書で、読者が異なる
  3. サービスレベル合意書(SLA)は、提供するサービスの品質水準を取り決めた合意書
  4. FAQ的な文書は、よくある質問と回答をQ&A形式でまとめたもの
  5. 文書の種類は、「誰が、何のために読むか」で区別すると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和6年度 問45(マネジメント系/サービスマネジメント)の解説です。

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