登場人物
美咲(みさき)
女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。
拓也(たくや)
美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。
今日の問題
今日の問題
IT サービスにおける SLM に関する説明のうち、適切なものはどれか。
- アSLM では、SLA で合意したサービスレベルを維持することが最優先課題となるので、サービスの品質の改善は補助的な活動となる。
- イSLM では、SLA で合意した定量的な目標の達成状況を確認するために、サービスの提供状況のモニタリングやレビューを行う。
- ウSLM の目的は、顧客とサービスの内容、要求水準などの共通認識を得ることであり、SLA の作成が活動の最終目的である。
- エSLM を効果的な活動にするために、SLA で合意するサービスレベルを容易に達成できるレベルにておくことが重要である。
第1幕:夜のコンビニで
夜、コンビニに立ち寄った二人。飲み物を選びながら、美咲がレジの顔見知りの店員と、気さくに挨拶を交わしていた。
美咲
あ、こんばんは。今日も遅くまでお疲れさまです
店員が「美咲さん、最近よく来ますね」と笑いかける。美咲も「ここのコーヒー、美味しいので」と自然に返す。
拓也
……
美咲
なによ、黙り込んで
拓也
いや、別に
第2幕:合意書を作ることがゴールでしょ
イートインスペースに座り、拓也はノートパソコンを開いた。まだどこか、表情が硬い。
美咲
じゃあ答えるわね。これウでしょ。『SLAの作成が活動の最終目的』
拓也
お、なんでそう思った?
美咲
だって、SLAって"合意書"なんでしょ。だったら、その合意書を作って、双方が納得すれば、それで一区切りって感じがするけど
拓也
……その発想、実はよくある勘違いなんだ。"合意書を作って終わり"じゃなくて、SLMは"作ったあとも続く活動"なんだよ
美咲
え、続くの?
拓也
うん。SLM(サービスレベルマネジメント)は、SLA(Service Level Agreement、サービスレベル合意書)で合意した内容を、その後もずっと維持・改善し続けるための管理活動。合意書を作ることは、あくまで出発点なんだ
第3幕:毎日チェックし続ける発注担当
拓也は、店内の発注端末をちらりと見た。
拓也
たとえば、このコンビニ。"品切れを出さない"っていう目標を一度決めたとしても、それで終わりじゃないよね
美咲
うん。毎日、売れ行きとか在庫を見ながら、発注し続けないといけないものね
拓也
それと同じで、SLMも"SLAで合意した目標が、実際に達成できているか"を、継続的にモニタリングしたりレビューしたりする活動なんだ
美咲
あ……! "約束を作る"だけじゃなくて、"約束がちゃんと守られてるか、確認し続ける"のがSLMなのね
拓也
そのとおり。"SLAで合意した定量的な目標の達成状況を確認するために、モニタリングやレビューを行う"のが、SLMの本質。正解はイ
美咲
なるほどね……。合意して終わりじゃなくて、そこからが本番なんだ
第4幕:別に、妬いてない
説明の途中、さっきの店員が「美咲さん、新商品のおにぎり、試食してみます?」と話しかけてくる。美咲が笑顔で「ありがとうございます、いただきます」と答えた。
拓也
……
美咲
またその顔してる。さっきから、何なのよ
拓也
別に、なんでもない
美咲
絶対なんでもなくないでしょ。ずっと不機嫌そうな顔してるじゃない
拓也
……その店員さんと、随分親しそうだったから
美咲
あ……もしかして、妬いてるの?
拓也
べ、別に、妬いてないし。ただ、感じの良い対応だなと思っただけで
美咲
今、思いっきり動揺したじゃない
拓也
……面目ない。大人げなかった
美咲
まあ、いいけど。……べ、別に、あんた以外に興味ないんだから、そんな顔しなくていいのに
そう言った美咲の頬が、心なしか赤らんでいた。
第5幕:残りの選択肢を片付ける
気を取り直して、美咲がノートに向き直る。
美咲
……気を取り直して。残りのアとエも教えて
拓也
アは、"品質の改善は補助的な活動"としてるけど、これは逆。SLMでは、サービスレベルの維持だけじゃなくて、"継続的な品質改善"も重要な活動の一つなんだ
美咲
エは?
拓也
エは、"達成しやすい低い目標にしておくべき"って書いてあるけど、これも誤り。目標を低く設定してしまうと、サービス品質の向上につながらない。適切な水準で目標を設定して、それを維持・改善していくことが大事なんだ
美咲
品質改善は補助的じゃなくて重要、目標は達成しやすく下げるんじゃなくて適切な水準を保つ。……どっちも、"楽な方に逃げちゃダメ"ってことね
拓也
うまいまとめ。SLMは、"合意したら終わり"でも"楽に達成できればいい"でもなくて、継続的にちゃんと向き合い続ける活動なんだ
問題文(再掲)
IT サービスにおける SLM に関する説明のうち、適切なものはどれか。
- アSLM では、SLA で合意したサービスレベルを維持することが最優先課題となるので、サービスの品質の改善は補助的な活動となる。
- イSLM では、SLA で合意した定量的な目標の達成状況を確認するために、サービスの提供状況のモニタリングやレビューを行う。
- ウSLM の目的は、顧客とサービスの内容、要求水準などの共通認識を得ることであり、SLA の作成が活動の最終目的である。
- エSLM を効果的な活動にするために、SLA で合意するサービスレベルを容易に達成できるレベルにておくことが重要である。
まとめ:選択肢ごとの答え合わせ
| 選択肢 | 内容 | 正誤 |
|---|---|---|
| ア | 品質改善は補助的な活動 | 不正解(品質改善も重要な活動) |
| イ | 合意目標の達成状況をモニタリング・レビューする | 正解 |
| ウ | SLAの作成が最終目的 | 不正解(作成はあくまで出発点) |
| エ | 目標は達成しやすいレベルにしておく | 不正解(適切な水準を維持すべき) |
答えイ SLAで合意した定量的な目標の達成状況を確認するために、サービスの提供状況のモニタリングやレビューを行う
覚え方のコツ
合意して終わりじゃない。そこからが本番。
- SLM(サービスレベルマネジメント)=SLAで合意した目標の達成状況を、継続的にモニタリング・レビューする活動
- サービスレベルの維持だけでなく、継続的な品質改善も重要な活動の一つ
- 目標は"達成しやすく下げる"のではなく、適切な水準を保ち続けることが大事
エピローグ
コンビニを出て、夜道を歩きながら、美咲がぽつりと言った。
美咲
さっきのこと、まだ根に持ってる?
拓也
いや、もう大丈夫。自分でもちょっと大人げなかったと思ってる
美咲
……珍しいわよね、あんたがあんな顔するの
拓也
俺も、自分でびっくりした
美咲
ふうん。……まあ、たまにはそれくらい、素直に出してもいいんじゃない?
拓也
それ、どういう意味?
美咲
さあ、どういう意味かしらね
美咲は、そう言って前を向いたまま、少し早足で歩き出した。
拓也(……今の、機嫌よさそうに見えるのは、気のせいじゃないよな)
夜のコンビニの明かりが、二人の後ろで小さくなっていった。
今日のポイントおさらい
- SLM(サービスレベルマネジメント)=合意した目標の達成状況を継続的にモニタリング・レビューする活動
- SLAの作成は活動の出発点であり、最終目的ではない
- サービスレベルの維持だけでなく、継続的な品質改善も重要な活動の一つ
- 目標は達成しやすく下げるのではなく、適切な水準を維持し続けることが求められる
- SLMは「合意して終わり」ではなく、合意した後も続く管理活動である
この記事はITパスポート試験 令和3年度 問53(マネジメント系/サービスマネジメント)の解説です。