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【第44話】滑り台で童心に返る|ITパスポート 令和6年度 問68

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第44話|第2部 場所:公園

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

公園

今日の問題

今日の問題

情報デザインで用いられる概念であり、部屋のドアノブの形で開閉の仕方を示唆するというような、人間の適切な行動を誘発する知覚可能な手掛かりのことを何と呼ぶか。

  • NUI(Natural User Interface)
  • ウィザード
  • シグニファイア
  • マルチタッチ

第1幕:ベンチで、涼しい風に吹かれながら

昼下がりの公園。ベンチに座って、二人は今日の問題に取りかかっていた。近くの遊具エリアでは、子どもたちがはしゃぐ声が聞こえている。

美咲

美咲

今日の問題、なんか読んだだけじゃピンとこないわね。"ドアノブの形で開閉を示唆する"?

拓也

拓也

ああ、これ、実はすごく身近な話なんだ

美咲

美咲

そうなの?

拓也

拓也

うん。ちょうど、目の前にいい実例があるし

第2幕:自然に触れて操作できることでしょ

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『NUI』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、"自然な行動を誘発する"っていうくらいだから、タッチとかジェスチャーで、自然に触れて操作できるインターフェースの話なのかなって

拓也

拓也

発想は近いんだけど、実は"操作の方法そのもの"と"使い方を示すヒント"は、別の概念なんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。NUIは、"タッチやジェスチャーなど、人間の自然な動作で操作できるインターフェース"のこと。今日の問題が聞いてるのは、"どう操作するかを教えてくれる、見た目のヒント"の話。似てるようで、指してるものが違うんだ

第3幕:滑り台の傾斜が、教えてくれること

拓也は、遊具エリアの滑り台を指さした。

拓也

拓也

あの滑り台、見ただけで"上から下に滑るもの"だってわかるよね。説明書なんて、誰も読まない

美咲

美咲

たしかに。傾斜がついてて、座面がツルツルしてるから、直感的に"滑るものだ"ってわかるわね

拓也

拓也

それだよ。あの"見ただけで使い方がわかる手掛かり"のことを、シグニファイアって呼ぶんだ。ドアノブの形で"押すのか引くのか"がわかるのも、同じ考え方

美咲

美咲

あ……!  ブランコの座面の形も、"ここに座るんだな"ってわかるようになってるし

拓也

拓也

そのとおり"人間の適切な行動を誘発する、知覚可能な手掛かり"がシグニファイアの定義正解はウ。デザインする側が、意図的にこの手掛かりを仕込んでおくことで、説明なしでも人は正しく使えるようになるんだ

美咲

美咲

なるほどね……。普段、意識してなかったけど、身の回りにけっこう溢れてるものなのね

第4幕:滑り台で童心に返る

説明をしながら、拓也は気づけば滑り台のほうへふらふらと歩いていた。

拓也

拓也

にしても、改めて見ると、よくできてるよなあ、これ。……あ、せっかくだし、実際に滑ってみようかな

美咲

美咲

……は?  いい歳して何言ってるのよ

拓也は美咲の制止も聞かず、階段を登り始めていた。

拓也

拓也

いや、シグニファイアの実例として、体感しておいたほうが記事にも説得力が……

美咲

美咲

言い訳が苦しいわよ!  周り見なさいよ、子どもたちがいるのに大人が混ざって滑ろうとしてる図、普通に恥ずかしいから!

拓也

拓也

あ……たしかに

我に返った拓也が、気まずそうに階段を降りてくる。

美咲

美咲

もう、あんたって、たまにそうやって子供に戻るわよね

拓也

拓也

面目ない……つい、楽しくなっちゃって

美咲

美咲

気持ちはわからなくもないけど、次からは心の中だけにしときなさい

拓也

拓也

肝に銘じます

第5幕:残りの選択肢を片付ける

ベンチに戻り、美咲が気を取り直してノートを開く。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

イのウィザードは、インストール画面なんかでよく見る、"次へ"を押していくだけで設定が完了する、対話形式の案内機能のこと。手掛かりというより、"手順そのものを順番に案内してくれる"仕組みなんだ

美咲

美咲

エは?

拓也

拓也

エのマルチタッチは、画面上の複数の指の動きを同時に認識する技術。ピンチで拡大縮小したりするあれ。これも、シグニファイアとは別の、"操作方法"の話なんだ

美咲

美咲

NUIは自然な操作方法、ウィザードは手順の案内、マルチタッチは複数指の認識、シグニファイアは見た目の手掛かり。……全部、"使いやすさ"に関わる言葉だけど、担当してる役割が違うのね

拓也

拓也

完璧な整理。どれも情報デザインやUIに関わる言葉だから混同しやすいけど、"何を実現するための概念か"に立ち返ると区別できるよ

問題文(再掲)

情報デザインで用いられる概念であり、部屋のドアノブの形で開閉の仕方を示唆するというような、人間の適切な行動を誘発する知覚可能な手掛かりのことを何と呼ぶか。

  • NUI(Natural User Interface)
  • ウィザード
  • シグニファイア
  • マルチタッチ

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
NUI(自然な動作で操作できるインターフェース)不正解
ウィザード(対話形式の設定案内)不正解
シグニファイア(適切な行動を誘発する知覚可能な手掛かり)正解
マルチタッチ(複数指の動きを認識する技術)不正解

答えウ シグニファイア

覚え方のコツ

滑り台の傾斜が、"滑るものだ"と教えてくれる。それがシグニファイア。

エピローグ

夕方が近づき、公園の遊具エリアも少しずつ静かになってきた。

美咲

美咲

……にしても、あんたがはしゃいでるとこ、久しぶりに見た気がするわ

拓也

拓也

そんなに珍しい?

美咲

美咲

珍しいわよ。いつも、ちょっと澄ました顔してるから

拓也

拓也

澄ましてるつもりはないんだけどな

美咲

美咲

ふふ、まあ、たまにはああいう顔も、悪くないと思うけど

拓也

拓也

……それ、褒めてる?

美咲

美咲

さあ、どうかしらね

美咲は、そう言って立ち上がり、伸びをした。

美咲

美咲

帰りましょ。次は、変なところではしゃがないでよね

拓也

拓也

善処します

夕方の公園を、二人は並んで歩いて帰った。

今日のポイントおさらい

  1. シグニファイア=人間の適切な行動を誘発する、知覚可能な手掛かり
  2. NUIは「自然な動作で操作できるインターフェース」で、シグニファイアとは別の概念
  3. ウィザードは対話形式の手順案内、マルチタッチは複数指の動きを認識する技術
  4. シグニファイアは、ドアノブの形や滑り台の傾斜など、身の回りに数多く存在する
  5. デザインに意図的な手掛かりが仕込まれているからこそ、説明書なしでも人は正しく使える

この記事はITパスポート試験 令和6年度 問68(テクノロジ系/情報デザイン)の解説です。

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