登場人物
美咲(みさき)
女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。
拓也(たくや)
美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。
今日の問題
今日の問題
あるデータを表現するために、1個のJANコードか1個のQRコードのどちらかの利用を検討する。表現できる最大のデータ量の大きい方を採用する場合、検討結果として、適切なものはどれか。
- アJANコードを採用する。
- イQRコードを採用する。
- ウ表現する内容によって最大のデータ量は変化するので決められない。
- エ表現できる最大のデータ量は同じなので決められない。
第1幕:定期検診の待合室で
美咲の定期健康診断に、拓也が付き添いで来ていた。会計窓口の近くに、患者の名前や処方情報が印字されたQRコード付きのリストバンドと、薬棚に貼られた昔ながらの縦線だけのバーコードが、並んで見えている。
美咲
あの二つ、見た目全然違うけど、どっちも同じような役割よね
拓也
見た目は全然違うけど、実は"持てる情報量"が桁違いなんだ
美咲
へえ、そうなの?
拓也
ちょうど今日の問題、それなんだ
第2幕:内容によって変わるから決められないでしょ
美咲
じゃあ答えるわね。これウでしょ。『表現する内容によって最大のデータ量は変化するので決められない』
拓也
お、なんでそう思った?
美咲
だって、書き込む内容次第で、必要なデータ量って変わってくるじゃない。だから、"どっちが多い"なんて、一概には決められないのかなって
拓也
その発想、すごく理系っぽくて悪くないんだけど、今回聞かれてるのは"実際に何を書き込むか"じゃなくて、"仕組みとして、最大どれだけ詰め込めるか"の話なんだ
美咲
あ、"上限"の話ってこと?
拓也
そのとおり。JANコードとQRコード、それぞれの"最大収容能力"を比べる問題なんだ
第3幕:一列の数字と、縦横に敷き詰められる情報
拓也は、薬棚のバーコードとリストバンドのQRコードを見比べた。
拓也
JANコードは、あの縦線が並んだだけのバーコード。基本的に13桁の数字を表現するだけの、一次元のコードなんだ
美咲
うん、レジでピッてやるやつよね
拓也
それに対してQRコードは、縦と横、両方向に情報を敷き詰められる二次元のコード。数字だけじゃなくて、英字や記号、日本語まで、JANコードとは比較にならないくらい大量の情報を持てるんだ
美咲
あ……! 一列に並んでるだけの情報と、縦横に敷き詰められる情報だと、そもそも入れられる量の桁が違うのね
拓也
そのとおり。"表現できる最大のデータ量が大きいほう"を選ぶなら、QRコードが正解。正解はイ。JANコードは、そもそも構造上、大量のデータを持たせる設計になっていないんだ
美咲
なるほどね……。内容によって変わるとかじゃなくて、そもそもの"入れ物の大きさ"が全然違ったのね
第4幕:お人好しすぎて
会計の順番待ちをしていると、拓也の前に、荷物を抱えたお年寄りが困った様子で立っていた。
拓也
あ、どうぞ、お先に
美咲
……あんた、また順番譲ったの?
拓也
いや、大変そうだったから
しばらくして、今度はベビーカーを押した母親が近づいてくる。
拓也
あ、どうぞどうぞ、お先に
美咲
ちょっと、さっきからずっと譲ってるじゃない。このままだと、いつまで経ってもうちの番来ないわよ
拓也
……たしかに、気づいたら結構な人数に譲ってた
美咲
気持ちはわかるけど、いい加減にしなさいよ。私だって、検診の後、疲れてるんだから
拓也
面目ない……。次からは、ちゃんと自分たちの番も大事にする
美咲
まあ、あんたが優しいのは知ってるけど、限度ってものがあるのよ
結局、二人の会計は、予定より20分ほど遅れてしまった。
第5幕:残りの選択肢を片付ける
ようやく会計を終え、待合室のベンチに座ったところで、美咲が気を取り直してノートを開く。
美咲
……気を取り直して。残りのアとエも教えて
拓也
アは、"JANコードを採用する"としてるけど、これは逆。JANコードのほうが、表現できる最大データ量は少ないから、今回の条件には合わない
美咲
エは?
拓也
エの"最大のデータ量は同じ"は、そもそも事実として誤り。JANコードとQRコードでは、構造も収容できる情報量も、明確に違うんだ
美咲
内容次第で決まるわけじゃなくて、そもそもJANコードとQRコードは、入れ物の大きさが違う。同じでもない。……だから、大きいほうを選ぶなら、素直にQRコード一択なのね
拓也
完璧な結論。仕組みそのものの違いを理解しておけば、内容がどうであれ、この手の比較問題には迷わなくなるよ
問題文(再掲)
あるデータを表現するために、1個のJANコードか1個のQRコードのどちらかの利用を検討する。表現できる最大のデータ量の大きい方を採用する場合、検討結果として、適切なものはどれか。
- アJANコードを採用する。
- イQRコードを採用する。
- ウ表現する内容によって最大のデータ量は変化するので決められない。
- エ表現できる最大のデータ量は同じなので決められない。
まとめ:選択肢ごとの答え合わせ
| 選択肢 | 内容 | 正誤 |
|---|---|---|
| ア | JANコードを採用する | 不正解(データ量はQRコードより少ない) |
| イ | QRコードを採用する | 正解 |
| ウ | 内容によって変化するので決められない | 不正解 |
| エ | 最大データ量は同じなので決められない | 不正解 |
答えイ QRコードを採用する
覚え方のコツ
一列の数字か、縦横に敷き詰めるか。入れ物の大きさがそもそも違う。
- JANコードは一次元(一列)のコードで、基本13桁の数字を表現するだけ
- QRコードは二次元(縦横)のコードで、数字・英字・日本語まで大量の情報を持てる
- 「表現できる最大データ量」は、内容に関わらずコードの仕組みそのものによって決まっている
エピローグ
病院の玄関を出ると、夕方の風が涼しかった。
美咲
今日は、待ち時間長かったわね
拓也
ほんとにごめん。次からは自重する
美咲
まあ、いいのよ。あんたが誰にでも優しいの、悪いことじゃないし
拓也
フォローしてくれるんだ
美咲
……別に、フォローってわけじゃないけど。ただ、そういうところ、嫌いじゃないから
拓也(……今の、結構嬉しい言い方だったな)
美咲
なに黙ってるのよ
拓也
いや、なんでもない。……今度からは、ちゃんと自分たちの分も確保する
美咲
それでいいのよ
二人は、並んで駅への道を歩いていった。
今日のポイントおさらい
- QRコードは、JANコードより表現できる最大データ量が大きい
- JANコードは一次元(一列)のコードで、基本的に13桁の数字を表現するだけ
- QRコードは二次元(縦横)のコードで、数字・英字・日本語まで大量の情報を持てる
- 「最大データ量」は、書き込む内容ではなく、コードの仕組みそのものによって決まる
- 一次元コードと二次元コードは、入れ物の構造そのものが違うと理解しておくと迷わない
この記事はITパスポート試験 令和4年度 問20(ストラテジ系/法務)の解説です。