← 一覧に戻る

【第49話】それ、店員呼びなさいよ|ITパスポート 令和3年度 問44

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第49話|第2部 場所:ファミレス

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

ファミレス

今日の問題

今日の問題

ITサービスマネジメントにおいて、サービスデスクが受けけた難度の高いインシデントを解決するために、サービスデスクの担当者が専門技術をもつ二次サポートに解決を委ねることはどれか。

  • FAQ的な文書
  • SLA
  • エスカレーション
  • ワークアラウンド

第1幕:注文タブレットの不調

いつものファミレス。席に着いてすぐ、注文用のタブレットの反応がおかしいことに気づく。

美咲

美咲

あれ、これ画面固まってない?

拓也

拓也

あ、ほんとだ。……ちょっと待って、俺が直してみる

美咲

美咲

店員さん呼べばいいんじゃないの?

拓也

拓也

いや、これくらい、自分でなんとかなる気がする

美咲は、少し呆れた顔でその様子を眺めていた。

第2幕:とりあえずの対処をすることでしょ

タブレットをつつきながら、拓也は今日の問題をノートに広げた。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『ワークアラウンド』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、"難しい問題を、専門の人に任せる"って、結局は"その場をしのぐための対処"って感じがするから、ワークアラウンドっぽいなって

拓也

拓也

発想は近いんだけど、実は"誰かに任せること"と"とりあえずの対処をすること"は、別の行動なんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。ワークアラウンドは、根本的な原因を解決しないまま、"とりあえず動くようにする一時しのぎの対処"のこと。今日の問題が聞いてるのは、"自分の手に負えない問題を、専門知識を持つ人に引き継ぐこと"なんだ

第3幕:店長に取り次ぐのと同じ

拓也は、ようやくタブレットをテーブルに置いて、店内を見回した。

拓也

拓也

たとえば、このお店で、フロアのスタッフさんじゃ対応できないような複雑なクレームが来たとするよね

美咲

美咲

うん

拓也

拓也

そういうとき、フロアの人はどうすると思う?

美咲

美咲

店長とか、責任者を呼んでくるんじゃない?

拓也

拓也

まさにそれ自分の手に負えない問題を、より専門知識を持つ人に引き継ぐこと。これがエスカレーションなんだ。サービスデスクの担当者が、難しいインシデントを二次サポートに委ねるのも、同じ考え方

美咲

美咲

あ……!  "とりあえず自分でなんとかする"んじゃなくて、"できる人にちゃんと繋ぐ"のがエスカレーションなのね

拓也

拓也

そのとおり正解はウ。ワークアラウンドが"一時しのぎの対処"なのに対して、エスカレーションは"適切な人に引き継ぐこと"なんだ

第4幕:意地になって、直らない

美咲

美咲

……で、結局、タブレットは直ったの?

拓也

拓也

いや、まだ

拓也

拓也

……いや、自分で直せる。もうちょっとだから

美咲

美咲

さっきから同じところ何度も触ってるじゃない。それ、店員さん呼びなさいよ

拓也

拓也

いや、あと少しで再起動できそうな……

美咲

美咲

意地張ってないで、さっさとエスカレーションしなさいよ、自分の話じゃない

拓也は、思わず手を止めた。

拓也

拓也

……それ、今の状況にちょうどいい言葉のチョイスだな

美咲

美咲

でしょ。自分で言ってて気づかなかったの?

拓也

拓也

面目ない……。すみません、お店の人呼びます

結局、店員を呼ぶと、裏でシステムを再起動してもらい、ものの1分でタブレットは元通りになった。

美咲

美咲

ほら、最初からそうすればよかったのよ

第5幕:残りの選択肢を片付ける

タブレットが直ったところで、気を取り直して美咲がノートに向き直る。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

アは、よくある質問と回答をまとめた文書のこと。利用者が自分で調べて解決するための資料であって、"誰かに委ねる"話とは違うんだ

美咲

美咲

イの『SLA』は?

拓也

拓也

SLAは、以前も出てきたサービスレベル合意書。提供するサービスの品質水準を取り決めた文書のことで、これも"引き継ぎ先"の話ではないんだ

美咲

美咲

FAQ的な文書は自分で調べる資料、SLAは品質の合意書、ワークアラウンドは一時しのぎ、エスカレーションは適切な人への引き継ぎ。……全部別の行動なのね

拓也

拓也

完璧な整理。今日みたいに、"自分で頑張りすぎず、任せるべき人に任せる"のも、立派なスキルの一つなんだよ

美咲

美咲

それ、さっきの自分に言い聞かせなさいよね

問題文(再掲)

ITサービスマネジメントにおいて、サービスデスクが受けけた難度の高いインシデントを解決するために、サービスデスクの担当者が専門技術をもつ二次サポートに解決を委ねることはどれか。

  • FAQ的な文書
  • SLA
  • エスカレーション
  • ワークアラウンド

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
よくある質問と回答をまとめた文書不正解
サービスレベル合意書(SLA)不正解
専門技術をもつ二次サポートに解決を委ねる(エスカレーション)正解
一時しのぎの対処(ワークアラウンド)不正解

答えウ エスカレーション

覚え方のコツ

一人で抱えず、できる人に繋ぐ。それがエスカレーション。

エピローグ

食事を終え、店を出る頃には、日もすっかり暮れていた。

美咲

美咲

あんた、頭はいいのに、たまにそういう意地の張り方するわよね

拓也

拓也

返す言葉もございません

美咲

美咲

まあ、自分でなんとかしようとするの、悪いことじゃないけどね。ただ、それで余計に時間かかるなら、本末転倒よ

拓也

拓也

肝に銘じます

美咲

美咲

……私にも、たまにはエスカレーションしていいのよ。一人で抱え込まないで

拓也

拓也

それ、勉強の話?

美咲

美咲

さあ、どういう意味かしらね

夜のファミレスの明かりが、少しずつ遠くなっていく。二人は、いつもの帰り道を並んで歩いた。

今日のポイントおさらい

  1. エスカレーション=自分の手に負えない問題を、専門知識を持つ二次サポートに引き継ぐこと
  2. ワークアラウンドは、根本解決をせずに一時しのぎで対処すること
  3. FAQ的な文書は自己解決のための資料、SLAはサービス品質の合意書で、どちらも別の概念
  4. 「一人で抱え込む」より「できる人に任せる」ほうが適切な場面がある
  5. IT用語は、それぞれが指す"行動の中身"で区別すると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和3年度 問44(マネジメント系/サービスマネジメント)の解説です。

← 一覧に戻る