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【第56話】はっきりしなさいよ|ITパスポート 令和6年度 問66

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第56話|第3部 場所:データセンター見学

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

データセンター見学

今日の問題

今日の問題

PKIにおけるCA(Certificate Authority)の役割に関する記述として、適切なものはどれか。

  • インターネットと内部ネットワークの間にあって、内部ネットワーク上のコンピュータに代わってインターネットにアクセスする。
  • インターネットと内部ネットワークの間にあって、パケットフィルタリング機能などを用いてインターネットから内部ネットワークへの不正アクセスを防ぐ。
  • 利用者に指定されたドメイン名を基にIPアドレスとドメイン名の対応付けを行い、利用者を目的のサーバにアクセスさせる。
  • 利用者の公開鍵に対する公開鍵証明書の発行や失効を行い、鍵の正当性を保証する。

第1幕:入館審査という関門

拓也の研究室つながりで、大学が連携しているデータセンターの見学会に参加できることになった。10月、二人はスーツ姿の見学者たちに混じって、受付の前に並んでいた。

美咲

美咲

なんか、思ったより物々しいのね。空港の保安検査みたい

拓也

拓也

身分証の確認、荷物チェック、それに入館バッジの発行。ここを抜けないと、中には入れないんだ

受付では、係員が一人ひとりの身分証を確認し、名前を照合してから、来館者用のICバッジを手渡していた。

拓也

拓也

ちょうどいいや。今日の問題、この受付の流れがそのまんまヒントになる

美咲

美咲

また、そのパターン?

第2幕:パケットフィルタリングで防ぐやつでしょ

バッジを首から下げ、見学ルートに入ったところで、拓也がノートを取り出す。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『パケットフィルタリングで、不正アクセスを防ぐ』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、"認証局"って名前、なんか怪しいものを弾いてくれる門番って感じがするじゃない。悪いアクセスをブロックしてくれるイメージだったのよね

拓也

拓也

発想はすごくわかるんだけど、実は"怪しいものを弾く"のと"本人であることを証明する"のは、全然別の仕事なんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。イの説明は、実はCAじゃなくて"ファイアウォール"の役割。今日の問題が聞いてるCA(認証局)は、"公開鍵証明書を発行したり、失効させたりする"役割なんだ

第3幕:バッジを発行して、回収する係

拓也は自分の首から下がっている来館者バッジを指さした。

拓也

拓也

さっきの受付、思い出してみて。俺たちの身分証を確認して、このバッジを発行してくれたよね

美咲

美咲

うん、名前をチェックしてから渡してくれたわね

拓也

拓也

あの受付の係員がやってるのが、まさにCAの仕事。"この人は確かに本人だ"って確認したうえで、証明書(バッジ)を発行する。これが"公開鍵証明書の発行"なんだ

美咲

美咲

あ……!  じゃあ、帰るときにバッジを回収されるのは?

拓也

拓也

そのとおり。それが"失効"。役目を終えた証明書を無効にする作業なんだ。正解はエ。CAは、悪いアクセスを弾く門番じゃなくて、"この鍵は本物です"って保証書を出す役所みたいな存在なんだよ

美咲

美咲

なるほどね……。怪しいものを追い返す係じゃなくて、正しいものを保証する係、ってことね

第4幕:はっきりしなさいよ

見学ルートの途中、案内スタッフが世間話のつもりで美咲と拓也に話しかけた。

「お二人、ご夫婦……じゃないですよね。恋人さん、とか?」

拓也は、前回の一件を引きずっていたせいで、今度は逆に何も言えなくなった。

拓也

拓也

……あの、その……

固まったまま、視線だけが泳ぐ。案内スタッフは苦笑いして、次の展示へと話題を移した。

美咲

美咲

……ちょっと。なんで黙るのよ

拓也

拓也

いや、この前、変なこと言って気まずくさせたから、今度は迂闊なこと言わないようにって

美咲

美咲

それで、何も言わないのが正解だと思ったわけ?

拓也

拓也

……違う、と思う

美咲

美咲

はっきりしなさいよ、いい加減。黙られるほうが、よっぽど気まずいんだけど

拓也

拓也

面目ない……

美咲

美咲

別に、今すぐ答え出せって言ってるわけじゃないけど。……黙るくらいなら、なんか言いなさいよ

拓也

拓也

肝に銘じます

第5幕:残りの選択肢を片付ける

気まずい空気を仕事に逃がすように、拓也はノートに向き直った。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

アの『内部ネットワークの代わりにインターネットにアクセスする』は、プロキシサーバの役割。内部の機器を直接インターネットにさらさずに、代理でアクセスしてくれる仕組みなんだ

美咲

美咲

ウは?

拓也

拓也

ウの『ドメイン名とIPアドレスを対応付ける』は、DNSの役割。"このドメイン名は、このIPアドレスです"っていう、いわば住所録の役目をしてる

美咲

美咲

イはファイアウォールで門番、アはプロキシで代理人、ウはDNSで住所録、エはCAで保証書の発行元。……似たような場所にいる係が、それぞれ全然違う仕事してるのね

拓也

拓也

完璧な整理。この4つ、名前だけ見ると混同しやすいんだけど、"誰が何のためにいるか"で分けて覚えると、もう迷わなくなるよ

問題文(再掲)

PKIにおけるCA(Certificate Authority)の役割に関する記述として、適切なものはどれか。

  • インターネットと内部ネットワークの間にあって、内部ネットワーク上のコンピュータに代わってインターネットにアクセスする。
  • インターネットと内部ネットワークの間にあって、パケットフィルタリング機能などを用いてインターネットから内部ネットワークへの不正アクセスを防ぐ。
  • 利用者に指定されたドメイン名を基にIPアドレスとドメイン名の対応付けを行い、利用者を目的のサーバにアクセスさせる。
  • 利用者の公開鍵に対する公開鍵証明書の発行や失効を行い、鍵の正当性を保証する。

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容実際の役割正誤
内部の代わりにインターネットへアクセスプロキシサーバ不正解
パケットフィルタリングで不正アクセスを防ぐファイアウォール不正解
ドメイン名とIPアドレスを対応付けるDNS不正解
公開鍵証明書の発行・失効、鍵の正当性を保証するCA(認証局)正解

答えエ 公開鍵証明書の発行や失効を行い、鍵の正当性を保証する

覚え方のコツ

受付でバッジを発行して、帰りに回収する係。それがCA。

エピローグ

見学ツアーが終わり、二人は入館バッジを受付に返却して外に出た。

美咲

美咲

今日は、バッジ回収されるとき、なんか名残惜しかったわね。ちゃんと"証明"されてた感じがして

拓也

拓也

それ、"失効"されるのが名残惜しいって、なかなか珍しい感想だと思う

美咲

美咲

別に、深い意味はないから

拓也

拓也

……さっきは、ごめん。黙り込んで、変な空気にして

美咲

美咲

もういいわよ、それは。……ただ、次に同じこと聞かれたら

拓也

拓也

うん

美咲

美咲

……別に。ちゃんと、なんか言えばいいと思う。それだけ

拓也

拓也心の声

……なんか、か。それが一番、難しいんだけど

拓也

拓也

……努力する

美咲

美咲

それでいいのよ、最初は

データセンターを出ると、10月の夕方の風が冷たくなり始めていた。二人は駅までの道を、いつもより少しだけ間を詰めて歩いた。

今日のポイントおさらい

  1. CA(認証局)=公開鍵証明書の発行・失効を行い、鍵の正当性を保証する役割
  2. ファイアウォールは、パケットフィルタリングなどで不正アクセスを防ぐ役割
  3. プロキシサーバは、内部ネットワークの代わりにインターネットへアクセスする役割
  4. DNSは、ドメイン名とIPアドレスを対応付ける役割
  5. 名前が似た用語ほど、「誰が何のためにいる仕組みか」を分けて覚えると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和6年度 問66(テクノロジ系/セキュリティ)の解説です。

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