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【第65話】余裕、じゃなかった|ITパスポート 令和4年度 問37

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第65話|第3部 場所:遊園地

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

遊園地

今日の問題

今日の問題

システムによる内部統制を目的として、幾つかの機能を実装した。次の処理は、どの機能の実現例として適切か。

  • システム障害の検知
  • システムによるアクセス制御
  • 利用者に対するアクセス権の付与
  • 利用者のパスワード設定の妥当性の確認

第1幕:入場ゲートのリストバンド

11月、二人は初めて一緒に遊園地に来ていた。入場ゲートで、事前購入したチケットと引き換えに、RFID内蔵のリストバンドを手首に巻く。

美咲

美咲

これ、ゲートにかざすだけで入れるのね。便利だわ

拓也

拓也

あ、それ、今日の問題にちょうどいい話だ

美咲

美咲

入場した瞬間から繋げるの、もう反射神経ね

拓也

拓也

今回は本当に、このゲートの仕組みそのものが答えなんだって

第2幕:権限を与えることでしょ

パーク内のベンチで一休みしながら、拓也がノートを広げる。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『アクセス権の付与』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、IDとパスワードが合ってたら中に入れる、って話でしょ?  それって、"この人には入る権限があります"って認めてあげることだと思ったんだけど

拓也

拓也

発想はすごく近いんだけど、実は"権限を与える"のと"毎回、権限があるか確認する"のは、タイミングが違うんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。アクセス権の付与は、"事前に、この人にはここまで見せていい"って決めておく作業。今日の問題が聞いてるのは、"ログインのたびに、IDとパスワードが正しいか照合して、通す・弾くを判断する"動作、つまりアクセス制御のほうなんだ

第3幕:かざすたびに、チェックされてる

拓也は、自分の手首のリストバンドを掲げてみせた。

拓也

拓也

このリストバンド、チケット買ったときに"入場資格あり"って登録されたよね。それがアクセス権の付与

美咲

美咲

うん、それはさっきの話ね

拓也

拓也

でも、実際にアトラクションのゲートを通るたびに、リストバンドをかざして"この人、本当に資格あるんだっけ"ってその都度チェックされてる。これが、まさにアクセス制御なんだ

美咲

美咲

あ……!  資格を"決める"のと、ゲートで"確認する"のは、別のタイミングでやってることなのね

拓也

拓也

そのとおり。正解はイIDとパスワードを入力して、登録内容と一致するか毎回照合する。一致すれば通す、しなければ弾く。この"毎回の照合動作"が、システムによるアクセス制御なんだ。今日の問題の処理も、まさにこの動きをしてる

美咲

美咲

なるほどね……。権限を"決める"作業と、"守る"作業は、別物ってことね

第4幕:……あ、これはきつい

絶叫マシンの前で、拓也が余裕の表情を浮かべていた。

拓也

拓也

このくらいの絶叫マシン、余裕でしょ

美咲

美咲

ふーん、じゃあ乗ってみましょうか

いざ乗り込んでみると、発車直後から拓也の顔色がみるみる悪くなっていく。

拓也

拓也

……あ、これはきつい

美咲

美咲

さっき余裕とか言ってなかった?

拓也

拓也

前言撤回します……

絶叫マシンが急降下するたびに、拓也は情けない声を上げ、隣で美咲が声を出して笑っていた。

美咲

美咲

あんたのそんな顔、初めて見たかも

拓也

拓也

もう、二度と見栄は張りません……

美咲

美咲

まあ、可愛い一面が見られたから、よしとしてあげる

拓也

拓也

それ、フォローになってる?

第5幕:残りの選択肢を片付ける

アトラクションを降り、二人はベンチで一息つく。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

アの『システム障害の検知』は、システムが正常に動いてるかを監視して、異常があれば察知する仕組み。今回のログイン処理そのものとは、直接関係ないんだ

美咲

美咲

エは?

拓也

拓也

エの『パスワード設定の妥当性の確認』は、"8文字以上""記号を含む"みたいな、パスワードを設定するときのルールを守ってるかチェックする仕組み。これも、ログインのたびに行う照合とは別のタイミングの話なんだ

美咲

美咲

アクセス制御はログインのたびの照合、アクセス権の付与は事前の設定、障害検知は異常の監視、パスワード妥当性確認は設定時のルールチェック。……全部タイミングが違うのね

拓也

拓也

完璧な整理。"いつ行われる処理か"に注目すると、この4つも迷わなくなるよ

問題文(再掲)

システムによる内部統制を目的として、幾つかの機能を実装した。次の処理は、どの機能の実現例として適切か。

  • システム障害の検知
  • システムによるアクセス制御
  • 利用者に対するアクセス権の付与
  • 利用者のパスワード設定の妥当性の確認

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
システム障害の検知(異常の監視)不正解
システムによるアクセス制御(ログインのたびの照合)正解
利用者に対するアクセス権の付与(事前の設定)不正解
パスワード設定の妥当性の確認(設定時のルールチェック)不正解

答えイ システムによるアクセス制御

覚え方のコツ

資格を決めるのが権限の付与、ゲートで毎回確かめるのがアクセス制御。

エピローグ

夕方の観覧車から、遊園地全体のイルミネーションが見え始めていた。

美咲

美咲

今日は、あんたの情けない顔が見られただけで、来た価値あったわね

拓也

拓也

その言い方、地味に傷つくんだけど

美咲

美咲

冗談よ。……普通に、楽しかった

拓也

拓也

うん、俺も

観覧車がゆっくりと最上部に近づく。

拓也

拓也心の声

……このゴンドラ、ゲートみたいに毎回誰かを確認してるわけじゃないけど、俺はいつだって、美咲が来てくれるのを待ってる気がするな

美咲

美咲

なに黙って窓の外見てるのよ

拓也

拓也

いや、なんでもない。……いい景色だなって

美咲

美咲

そうね

観覧車の中、二人はしばらく無言のまま、色とりどりの光を見下ろしていた。

今日のポイントおさらい

  1. アクセス制御=ログインのたびに、IDとパスワードの組合せを照合し、通す・弾くを判断する動作
  2. アクセス権の付与は、"誰にどこまで見せるか"を事前に決めておく作業で、アクセス制御とはタイミングが異なる
  3. システム障害の検知は、システムの異常を監視して察知する仕組み
  4. パスワード設定の妥当性の確認は、パスワードの設定ルールを守っているかをチェックする仕組み
  5. 内部統制の4つの機能は、「いつ行われる処理か」に注目すると区別しやすい

この記事はITパスポート試験 令和4年度 問37(マネジメント系/システム監査)の解説です。

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