登場人物
美咲(みさき)
女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。
拓也(たくや)
美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。
今日の問題
今日の問題
システムによる内部統制を目的として、幾つかの機能を実装した。次の処理は、どの機能の実現例として適切か。
- アシステム障害の検知
- イシステムによるアクセス制御
- ウ利用者に対するアクセス権の付与
- エ利用者のパスワード設定の妥当性の確認
第1幕:入場ゲートのリストバンド
11月、二人は初めて一緒に遊園地に来ていた。入場ゲートで、事前購入したチケットと引き換えに、RFID内蔵のリストバンドを手首に巻く。
美咲
これ、ゲートにかざすだけで入れるのね。便利だわ
拓也
あ、それ、今日の問題にちょうどいい話だ
美咲
入場した瞬間から繋げるの、もう反射神経ね
拓也
今回は本当に、このゲートの仕組みそのものが答えなんだって
第2幕:権限を与えることでしょ
パーク内のベンチで一休みしながら、拓也がノートを広げる。
美咲
じゃあ答えるわね。これウでしょ。『アクセス権の付与』
拓也
お、なんでそう思った?
美咲
だって、IDとパスワードが合ってたら中に入れる、って話でしょ? それって、"この人には入る権限があります"って認めてあげることだと思ったんだけど
拓也
発想はすごく近いんだけど、実は"権限を与える"のと"毎回、権限があるか確認する"のは、タイミングが違うんだ
美咲
え、違うの?
拓也
うん。アクセス権の付与は、"事前に、この人にはここまで見せていい"って決めておく作業。今日の問題が聞いてるのは、"ログインのたびに、IDとパスワードが正しいか照合して、通す・弾くを判断する"動作、つまりアクセス制御のほうなんだ
第3幕:かざすたびに、チェックされてる
拓也は、自分の手首のリストバンドを掲げてみせた。
拓也
このリストバンド、チケット買ったときに"入場資格あり"って登録されたよね。それがアクセス権の付与
美咲
うん、それはさっきの話ね
拓也
でも、実際にアトラクションのゲートを通るたびに、リストバンドをかざして"この人、本当に資格あるんだっけ"ってその都度チェックされてる。これが、まさにアクセス制御なんだ
美咲
あ……! 資格を"決める"のと、ゲートで"確認する"のは、別のタイミングでやってることなのね
拓也
そのとおり。正解はイ。IDとパスワードを入力して、登録内容と一致するか毎回照合する。一致すれば通す、しなければ弾く。この"毎回の照合動作"が、システムによるアクセス制御なんだ。今日の問題の処理も、まさにこの動きをしてる
美咲
なるほどね……。権限を"決める"作業と、"守る"作業は、別物ってことね
第4幕:……あ、これはきつい
絶叫マシンの前で、拓也が余裕の表情を浮かべていた。
拓也
このくらいの絶叫マシン、余裕でしょ
美咲
ふーん、じゃあ乗ってみましょうか
いざ乗り込んでみると、発車直後から拓也の顔色がみるみる悪くなっていく。
拓也
……あ、これはきつい
美咲
さっき余裕とか言ってなかった?
拓也
前言撤回します……
絶叫マシンが急降下するたびに、拓也は情けない声を上げ、隣で美咲が声を出して笑っていた。
美咲
あんたのそんな顔、初めて見たかも
拓也
もう、二度と見栄は張りません……
美咲
まあ、可愛い一面が見られたから、よしとしてあげる
拓也
それ、フォローになってる?
第5幕:残りの選択肢を片付ける
アトラクションを降り、二人はベンチで一息つく。
美咲
……気を取り直して。残りのアとエも教えて
拓也
アの『システム障害の検知』は、システムが正常に動いてるかを監視して、異常があれば察知する仕組み。今回のログイン処理そのものとは、直接関係ないんだ
美咲
エは?
拓也
エの『パスワード設定の妥当性の確認』は、"8文字以上""記号を含む"みたいな、パスワードを設定するときのルールを守ってるかチェックする仕組み。これも、ログインのたびに行う照合とは別のタイミングの話なんだ
美咲
アクセス制御はログインのたびの照合、アクセス権の付与は事前の設定、障害検知は異常の監視、パスワード妥当性確認は設定時のルールチェック。……全部タイミングが違うのね
拓也
完璧な整理。"いつ行われる処理か"に注目すると、この4つも迷わなくなるよ
問題文(再掲)
システムによる内部統制を目的として、幾つかの機能を実装した。次の処理は、どの機能の実現例として適切か。
- アシステム障害の検知
- イシステムによるアクセス制御
- ウ利用者に対するアクセス権の付与
- エ利用者のパスワード設定の妥当性の確認
まとめ:選択肢ごとの答え合わせ
| 選択肢 | 内容 | 正誤 |
|---|---|---|
| ア | システム障害の検知(異常の監視) | 不正解 |
| イ | システムによるアクセス制御(ログインのたびの照合) | 正解 |
| ウ | 利用者に対するアクセス権の付与(事前の設定) | 不正解 |
| エ | パスワード設定の妥当性の確認(設定時のルールチェック) | 不正解 |
答えイ システムによるアクセス制御
覚え方のコツ
資格を決めるのが権限の付与、ゲートで毎回確かめるのがアクセス制御。
- アクセス制御=ログインのたびに、IDとパスワードの組合せが登録内容と一致するか照合し、通す・弾くを判断する動作
- アクセス権の付与は、"誰にどこまで見せるか"を事前に決めておく作業。アクセス制御とはタイミングが異なる
- システム障害の検知は異常の監視、パスワード妥当性の確認は設定時のルールチェック。いずれもログイン時の照合とは別の仕組み
エピローグ
夕方の観覧車から、遊園地全体のイルミネーションが見え始めていた。
美咲
今日は、あんたの情けない顔が見られただけで、来た価値あったわね
拓也
その言い方、地味に傷つくんだけど
美咲
冗談よ。……普通に、楽しかった
拓也
うん、俺も
観覧車がゆっくりと最上部に近づく。
拓也心の声
……このゴンドラ、ゲートみたいに毎回誰かを確認してるわけじゃないけど、俺はいつだって、美咲が来てくれるのを待ってる気がするな
美咲
なに黙って窓の外見てるのよ
拓也
いや、なんでもない。……いい景色だなって
美咲
そうね
観覧車の中、二人はしばらく無言のまま、色とりどりの光を見下ろしていた。
今日のポイントおさらい
- アクセス制御=ログインのたびに、IDとパスワードの組合せを照合し、通す・弾くを判断する動作
- アクセス権の付与は、"誰にどこまで見せるか"を事前に決めておく作業で、アクセス制御とはタイミングが異なる
- システム障害の検知は、システムの異常を監視して察知する仕組み
- パスワード設定の妥当性の確認は、パスワードの設定ルールを守っているかをチェックする仕組み
- 内部統制の4つの機能は、「いつ行われる処理か」に注目すると区別しやすい
この記事はITパスポート試験 令和4年度 問37(マネジメント系/システム監査)の解説です。