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【第70話】それより先に売り切れ|ITパスポート 令和5年度 問24

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第70話|第3部 場所:学園祭

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

学園祭

今日の問題

今日の問題

需要量が年間を通じて安定している場合において、定量発注方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 最適な発注量は、発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である。
  • 発注回数の多寡で比較したとき、発注回数の多い方が商品を保管するスペースを広くする必要がある。
  • 発注は毎週金曜日、毎月末など、決められた同じサイクルで行われる。
  • 毎回需要予測に基づき発注が行われる。

第1幕:材料補充の相談

学園祭2日目の朝、たこの在庫が予想より早く減っていた。美咲がメモを片手に、追加の買い出しをどうするか相談する。

美咲

美咲

昨日のペースだと、午後にはたこ、足りなくなりそうなのよね

拓也

拓也

あ、それ、今日の問題にちょうどいい話だ。ちょうど"発注のタイミング"の話だから

美咲

美咲

在庫の心配してるだけなのに、また繋げるの

拓也

拓也

今回は本当に、今のこの状況がそのまま答えに繋がるんだって

第2幕:毎回そのとき次第で発注するんでしょ

裏方のテーブルで、拓也がノートを広げる。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『毎回需要予測に基づき発注が行われる』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、今日みたいに、売れ行きを見て"今日は多めに買っておこう"って判断するものだと思ったのよね

拓也

拓也

発想はわかるんだけど、実は"そのつど需要を予測して発注する"のと"決まった量に達したら発注する"のは、別の方式なんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。エの説明は、実は定量発注方式の話じゃないんだ。今日の問題が聞いてる定量発注方式は、"在庫が決められた量まで減ったら、決まった量を発注する"仕組み。じゃあ、何を基準に"発注する量"を決めるかって話になるよね

第3幕:買いに行く手間と、余らせるリスク

拓也は、裏方に積まれたたこの箱を指さした。

拓也

拓也

もし、たこを1回でたくさん買いすぎたらどうなる?

美咲

美咲

うーん、保管に困りそうだし、傷んじゃったら困るわね

拓也

拓也

それが"在庫維持費用"。逆に、少しずつ何度も買いに行ったら?

美咲

美咲

そのたびに、誰かがお店を空けて買いに行かなきゃいけないから、それはそれで大変ね

拓也

拓也

それが"発注費用"。買いすぎれば在庫維持費用がかさむし、こまめに買いすぎれば発注費用がかさむ。この2つの費用の合計が、一番少なくなる量を狙って発注する。これが最適発注量の考え方なんだ

美咲

美咲

あ……!  "ちょうどいい量"って、なんとなくじゃなくて、ちゃんと理屈があるのね

拓也

拓也

そのとおり。正解はア発注費用と在庫維持費用の総額が最小になる量が、定量発注方式の最適発注量。多すぎても少なすぎても、どこかに無駄が出るんだ

美咲

美咲

なるほどね……。今日のたこの発注も、この考え方が使えそうね

第4幕:……あ、たこがない

理論を説明し終えた拓也が、電卓片手に唸り始めた。

拓也

拓也

うーん、発注費用と在庫維持費用のバランスを考えると、追加は……ちょうどこのくらいが最適な気がするな……

拓也

拓也

いや待って、もう少し細かく計算したほうが

美咲

美咲

……ちょっと、いつまで計算してるのよ

拓也

拓也

あと少しで最適な数字が

美咲

美咲

……あ、たこがない

売り場から聞こえた声に、拓也が振り返る。すでに数組のお客さんが、たこ焼きが品切れで残念そうに列を離れていくところだった。

拓也

拓也

……最適化してる場合じゃなかった

美咲

美咲

理屈はいいから、まず動きなさいよ!  完璧な発注量より、売り切れないことのほうが大事でしょ

拓也

拓也

面目ない……。すぐ買いに行ってきます

美咲

美咲

私も行く。急いで

二人は財布を掴んで、慌てて店を飛び出した。

第5幕:残りの選択肢を片付ける

追加のたこを買い、無事に補充を終えたあと、拓也が続きを説明する。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

イの『発注回数の多い方が保管スペースを広く必要とする』は、逆の説明。発注回数が多いほど、1回あたりの発注量は少なくなるから、実際は保管スペースが狭くて済むんだ

美咲

美咲

ウは?

拓也

拓也

ウの『毎週金曜日、毎月末など決まったサイクルで発注する』は、定期発注方式の説明。定量発注方式は"量"で発注のタイミングを決めるけど、定期発注方式は"時期"で決めるんだ。似てるようで、判断基準が違う

美咲

美咲

最適発注量は費用最小化、発注回数が多いと保管スペースは狭くて済む、決まったサイクルは定期発注方式、需要予測ベースはどちらとも違う考え方。……発注の仕方にも、いろんな理屈があるのね

拓也

拓也

完璧な整理。定量発注方式と定期発注方式、どっちも"いつ・どれだけ発注するか"を決める仕組みだけど、基準にしてるものが違うんだ

問題文(再掲)

需要量が年間を通じて安定している場合において、定量発注方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 最適な発注量は、発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である。
  • 発注回数の多寡で比較したとき、発注回数の多い方が商品を保管するスペースを広くする必要がある。
  • 発注は毎週金曜日、毎月末など、決められた同じサイクルで行われる。
  • 毎回需要予測に基づき発注が行われる。

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
発注費用と在庫維持費用の総額が最小になる量が最適発注量正解
発注回数が多いほど保管スペースが広く必要(実際は逆)不正解
決まったサイクルで発注する(定期発注方式の説明)不正解
毎回需要予測に基づき発注する不正解

答えア 最適な発注量は、発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である

覚え方のコツ

買いに行く手間と、余らせるリスク。ちょうどいいバランスを狙うのが最適発注量。

エピローグ

閉店作業を終え、二人は片付けをしながら一息ついた。

美咲

美咲

今日は、危うく理論倒れになるところだったわね

拓也

拓也

返す言葉もございません……。完璧な数字を求めすぎた

美咲

美咲

まあ、間に合ったからよしとしましょう。……次からは、ちょっとくらい雑でも、早く動くこと

拓也

拓也

肝に銘じます

美咲

美咲

あんたのそういう几帳面なところ、嫌いじゃないけどね。今日みたいに、たまに空回りするけど

拓也

拓也

それ、褒められてる?

美咲

美咲

さあ、どうかしらね

拓也

拓也心の声

……空回りしても、隣で一緒に走ってくれるんだよな、美咲は

美咲

美咲

なに黙ってるのよ

拓也

拓也

いや、なんでもない。明日、最終日だね

美咲

美咲

うん。ラストスパート、頑張りましょう

売り切れ間近の看板を片付けながら、二人は明日の準備に取り掛かった。

今日のポイントおさらい

  1. 定量発注方式の最適発注量=発注費用と在庫維持費用の総額が最小になる量
  2. 発注回数が多いほど、1回あたりの発注量は少なくなり、保管スペースは狭くて済む
  3. 定期発注方式は、決まった時期(サイクル)に発注する方式
  4. 定量発注方式は、需要予測ではなく在庫量を基準に発注のタイミングを判断する
  5. 定量発注方式と定期発注方式は、「量で決めるか、時期で決めるか」で区別すると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和5年度 問24(ストラテジ系/企業活動)の解説です。

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