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【第71話】それは記録しないで|ITパスポート 令和6年度 問37

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第71話|第3部 場所:学園祭

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

学園祭

今日の問題

今日の問題

システム開発プロジェクトを終結する時に、プロジェクト統合マネジメントで実施する活動として、最も適切なものはどれか。

  • 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
  • 作成した全ての成果物の一覧を確認する。
  • 総費用の予算と実績の差異を分析する。
  • 知識や教訓を組織の資産として登録する。

第1幕:学園祭最終日、撤収作業

学園祭最終日の夕方、模擬店の撤収作業が終わり、サークルのメンバーが片付けをしながら、今年の反省会を始めていた。

美咲

美咲

3日間、なんだかんだ黒字で終われそうね

拓也

拓也

あ、それ、今日の問題にちょうどいい話だ。ちょうど"締めくくり"の話だから

美咲

美咲

片付けの最中まで繋げるの、もう病気ね

拓也

拓也

今回は本当に、この反省会そのものが答えなんだって

第2幕:予算と実績の差異を分析するんでしょ

空き教室の隅で、拓也がノートを広げる。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『総費用の予算と実績の差異を分析する』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、終わったんだから、まずは予算どおりだったか、実際いくらかかったかを確認するものだと思ったのよね

拓也

拓也

発想はわかるんだけど、実は"予算と実績を比べる"のは、プロジェクトが終わってからじゃなくて、進行中にずっとやってることなんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。進捗の差異分析も、費用の差異分析も、"実行中"に繰り返しチェックすること。今日の問題が聞いてるのは、"終結"のとき、つまり全部終わったあとに特有の活動なんだ

第3幕:来年のためのノート

拓也は、美咲が持っていた反省会用のノートを指さした。

拓也

拓也

そのノート、何を書くつもりだったの?

美咲

美咲

今年やってよかったこととか、失敗したこととか。来年の後輩が同じ模擬店やるときのために、残しておこうと思って

拓也

拓也

それ、まさに今日の問題の答えそのものだよ。プロジェクトが終わったときに、"得られた知識や教訓を、組織の資産として登録する"。これが終結段階に特有の活動なんだ

美咲

美咲

あ……!  "今回だけで終わらせない"ための記録ってことね

拓也

拓也

そのとおり。正解はエ。進捗管理や費用管理は、プロジェクトの"最中"にやること。でも"次に活かす"ための記録は、"終わったあと"にしかできない。美咲がやろうとしてたこと、まさにそれなんだ

美咲

美咲

なるほどね……。私、無意識にちゃんとしたことやってたのね

第4幕:……あ、待って、それ消して

美咲がノートに、今年の出来事を書き出し始めた。

美咲

美咲

えーと、看板の字が壊滅的だったこと、計算に夢中でたこ焼き焦がしたこと、最適発注量にこだわりすぎて売り切れかけたこと……

拓也

拓也

……あ、待って、それ消して

美咲

美咲

え、これ全部、来年のための貴重な教訓じゃない

拓也

拓也

俺個人の黒歴史集になってるんだけど

美咲

美咲

事実を書いてるだけよ。むしろ"理論に詳しい人ほど、たまに実践でやらかす"って、来年の後輩への良い教訓になると思うけど

拓也

拓也

その理屈、地味に俺へのダメージが大きいんだけど……

美咲

美咲

まあまあ、いいから。これも立派な"知識の資産化"でしょ?

拓也

拓也

……否定できないのが、余計につらい

結局、拓也のやらかし集は、名前を伏せたまま「反省点」の欄にまとめて記録されることになった。

第5幕:残りの選択肢を片付ける

ノートを書き終え、拓也が続きを説明する。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

アの『工程の進捗の予定と実績の差異を分析する』は、プロジェクト実行中の監視・制御活動。予定どおり進んでるか、遅れてないかを、ずっとチェックし続けることなんだ

美咲

美咲

イは?

拓也

拓也

イの『作成した全ての成果物の一覧を確認する』も、実行中や終結の前段階で行う確認作業。今日の問題が聞いてる"終結段階に特有の活動"とは、また少し違うタイミングのことなんだ

美咲

美咲

進捗と費用の差異分析は実行中にずっとやること、成果物の確認も実行段階の作業、知識や教訓の資産化だけが終結段階特有。……"終わったからこそできること"があるのね

拓也

拓也

完璧な整理。プロジェクトは、終わった瞬間が一番大事な場面でもあるんだ。ちゃんと締めくくることで、次に繋がる

問題文(再掲)

システム開発プロジェクトを終結する時に、プロジェクト統合マネジメントで実施する活動として、最も適切なものはどれか。

  • 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
  • 作成した全ての成果物の一覧を確認する。
  • 総費用の予算と実績の差異を分析する。
  • 知識や教訓を組織の資産として登録する。

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
工程の進捗の予定と実績の差異を分析する(実行中の活動)不正解
作成した全ての成果物の一覧を確認する(実行段階の活動)不正解
総費用の予算と実績の差異を分析する(実行中の活動)不正解
知識や教訓を組織の資産として登録する正解

答えエ 知識や教訓を組織の資産として登録する

覚え方のコツ

実行中はずっと監視、終結でしかできないのは"次に活かす記録"。

エピローグ

片付けを終え、二人は誰もいなくなった構内をゆっくり歩いていた。

美咲

美咲

この3日間、本当にあっという間だったわね

拓也

拓也

うん。……最初は手伝うだけのつもりだったけど、思ったよりずっと楽しかった

美咲

美咲

私も。……あんたがいてくれて、正直すごく助かった

拓也

拓也

それ、素直に言われると調子狂うんだけど

美咲

美咲

べ、別に、いつもは言わないから、貴重だと思いなさいよ

拓也

拓也心の声

……この3日間のこと、俺もちゃんと"資産"として、覚えておこう

美咲

美咲

なに一人で頷いてるのよ

拓也

拓也

いや、来年もまた手伝いたいなって思って

美咲

美咲

……そのときは、また誘うから

夜の学園祭跡地、ライトアップの片付けが進む中、二人は静かな構内を後にした。

今日のポイントおさらい

  1. プロジェクト終結段階に特有の活動=知識や教訓を組織の資産として登録すること
  2. 工程の進捗の差異分析、総費用の差異分析は、プロジェクト実行中に行う監視・制御活動
  3. 作成した成果物の一覧確認も、実行段階で行われる活動
  4. 終結段階は、"次に活かす"ための振り返りが特に重要になるタイミング
  5. プロジェクトは、終わった瞬間の振り返りが、次の成功につながる

この記事はITパスポート試験 令和6年度 問37(マネジメント系/プロジェクトマネジメント)の解説です。

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