登場人物
美咲(みさき)
女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。
拓也(たくや)
美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。
今日の問題
今日の問題
データベース設計におけるデータ分析で行うこととして、適切なものはどれか。
- アデータウェアハウスから業務ごとに必要な情報を抽出する。
- イデータ項目の内容が、指定された条件を満足する行だけを抽出する。
- ウ必要なデータ項目を洗い出し、項目間の関連を整理する。
- エ膨大な情報から統計的手法などを用いて、ビジネスに活用できる情報を探索する。
第1幕:蔵書目録の前で
2月、二人は静かな図書館の閲覧席にいた。美咲が、蔵書検索端末の画面を覗き込む。
美咲
この目録、著者名とか出版年とかジャンルとか、いろんな項目で検索できるのね
拓也
あ、それ、今日の問題にちょうどいい話だ
美咲
静かにしなさいよ。……でも、また繋げるのね
拓也
今回は本当に、この目録の作り方そのものが答えなんだって
第2幕:統計的手法で情報を探索するんでしょ
小声で、拓也がノートを広げる。
美咲
じゃあ答えるわね。これエでしょ。『統計的手法で情報を探索する』
拓也
お、なんでそう思った?
美咲
だって、"データ分析"って言われたら、統計とか使って何か調べる、ってイメージが強かったのよね
拓也
発想はわかるんだけど、実は"データベースを設計する段階"と"できあがったデータを分析して活用する段階"は、全然別の工程なんだ
美咲
え、違うの?
拓也
うん。エの説明は、データマイニングっていう、"すでにあるデータを分析して知見を得る"工程の話。今日の問題が聞いてるのは、"データベースを作る前の段階"で行う作業なんだ
第3幕:項目を洗い出し、関連を整理する
拓也は、蔵書検索端末の画面を指さした。
拓也
この目録、いきなり検索システムを作ったわけじゃないよね。まず、"どんな項目が必要か"を決めるところから始まってるはずなんだ
美咲
うん、著者名とか、出版年とか、ジャンルとか
拓也
そのとおり。まず必要な項目を洗い出して、次に"この本とこの著者は繋がってる"みたいに、項目同士の関連を整理する。これが、データベース設計における"データ分析"の工程なんだ
美咲
あ……! "どんな情報を、どう繋げて管理するか"を、作る前にちゃんと整理するってことね
拓也
そのとおり。正解はウ。必要なデータ項目を洗い出し、項目間の関連を整理する。この土台がしっかりしてないと、あとで検索しやすい目録は作れないんだ
美咲
なるほどね……。目録一つとっても、ちゃんと設計されてるのね
第4幕:……あ、これ、俺の本だ
説明の途中、拓也が近くの返却棚に目を留めた。
拓也
……あ、これ、俺の本だ
美咲
え?
拓也
先月借りたやつ。……それ延滞してる
美咲
うわ、いつの間に
拓也は慌ててスマホの貸出履歴を確認し、青ざめた。
拓也
返却期限、2週間も過ぎてる……
美咲
勉強どころじゃないでしょ、それ。早く返してきなさいよ
拓也
今すぐ行ってきます
拓也が慌てて席を立ち、返却カウンターへ走っていく。しばらくして戻ってきた拓也は、少し反省した様子で席に着いた。
拓也
延滞料、払ってきた……
美咲
次からは、ちゃんと期限管理しなさいよね
拓也
肝に銘じます
第5幕:残りの選択肢を片付ける
気を取り直して、拓也がノートに向き直る。
美咲
……気を取り直して。残りのアとイも教えて
拓也
アの『データウェアハウスから業務ごとに必要な情報を抽出する』は、すでに蓄積されたデータを"活用する"段階の話。今日の問題が聞いてる、"設計する前"の話とは順番が違うんだ
美咲
イは?
拓也
イの『指定された条件を満足する行だけを抽出する』は、"選択(セレクト)"っていう、データベースを使う側の操作。以前、動物園の回で出てきた、関係データベースの基本操作の一つだね
美咲
データ分析は項目と関連を整理する設計段階、データウェアハウスからの抽出は活用段階、選択は使う側の操作、データマイニングは統計的な探索。……全部"データ"に関わる話だけど、タイミングが違うのね
拓也
完璧な整理。"設計する前""作った後に使う""すでにあるデータを分析する"、この順番を意識すると、混同しなくなるよ
問題文(再掲)
データベース設計におけるデータ分析で行うこととして、適切なものはどれか。
- アデータウェアハウスから業務ごとに必要な情報を抽出する。
- イデータ項目の内容が、指定された条件を満足する行だけを抽出する。
- ウ必要なデータ項目を洗い出し、項目間の関連を整理する。
- エ膨大な情報から統計的手法などを用いて、ビジネスに活用できる情報を探索する。
まとめ:選択肢ごとの答え合わせ
| 選択肢 | 内容 | 正誤 |
|---|---|---|
| ア | データウェアハウスから情報を抽出する(活用段階) | 不正解 |
| イ | 条件を満足する行だけを抽出する(選択操作) | 不正解 |
| ウ | 必要なデータ項目を洗い出し、関連を整理する | 正解 |
| エ | 統計的手法でビジネスに活用できる情報を探索する(データマイニング) | 不正解 |
答えウ 必要なデータ項目を洗い出し、項目間の関連を整理する
覚え方のコツ
目録を作る前に、まず項目と関連を整理する。
- データベース設計における「データ分析」=必要なデータ項目を洗い出し、項目間の関連を整理する工程
- データウェアハウスからの抽出は、できあがったデータを"活用する"段階の話
- 統計的手法でビジネスに活用できる情報を探索するのは、データマイニングの説明
エピローグ
閉館時間が近づき、二人は荷物をまとめた。
美咲
今日は、あんたの延滞事件が一番の見どころだったわね
拓也
返す言葉もございません……
美咲
まあ、ちゃんと返しに行ったから、よしとしましょう
拓也
うん。……次からは、期限もちゃんとデータベース化しておく
美咲
それ、システムの問題じゃなくて、あんたの記憶力の問題だと思うけど
拓也
……たしかに
拓也心の声
……こういう抜けてるところ、美咲にはいつもバレるんだよな
美咲
なに一人で納得してるのよ
拓也
いや、なんでもない。また今度、ここ来よう
美咲
うん。次は延滞しないでよね
図書館を出ると、2月の夜風が二人の頬をかすめた。
今日のポイントおさらい
- データベース設計における「データ分析」=必要なデータ項目を洗い出し、項目間の関連を整理する工程
- データウェアハウスからの情報抽出は、できあがったデータを活用する段階の作業
- 指定された条件を満足する行だけを抽出するのは、データベースの「選択」操作
- 統計的手法でビジネスに活用できる情報を探索するのは、データマイニングの役割
- データに関する用語は、「設計前・活用時・分析時」のどの段階の話かを意識すると混同しにくい
この記事はITパスポート試験 令和7年度 問95(テクノロジ系/データベース)の解説です。