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【第92話】言ったら承知しない|ITパスポート 令和4年度 問5

~ツンデレ女子大生と東大パソコンオタクの、ちょっと不器用な勉強会~

第92話|第4部 場所:図書館

登場人物

美咲

美咲(みさき)

女子大生。就活のエントリーシートの資格欄が真っ白なことに気づき、慌ててITパスポートの勉強を開始。ITは完全に素人。高校時代は可愛くて人気者だったので、ちょっとプライドが高い。素直じゃない。

拓也

拓也(たくや)

美咲の高校時代の同級生。東京大学工学部。子どもの頃からパソコンばかりいじってきた生粋のオタク。実は美咲のことが好きだが、10年近く言い出せていない。教えるのは得意だが、口が悪いのが玉に瑕。

図書館

今日の問題

今日の問題

NDA に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 企業などにおいて、情報システムへの脅威の監視や分析を行う専門組織
  • 契約担当者がもつ営業秘密などを特定し、相手の秘密情報を管理する意思を合意する契約
  • 提供するサービス内容に関して、サービスの提供者と利用者が合意した、客観的な品質基準の取決め
  • プロジェクトにおいて実施する作業を細分化し、階層構造で整理したもの

第1幕:インターンシップ資料の中で

3月、就活準備を進める美咲が、図書館でインターンシップの案内資料を読んでいた。「NDAへの同意が必要です」という一文に目が留まる。

美咲

美咲

これ、NDAって書いてあるけど、何の略?  正直、意味わかんないんだけど

拓也

拓也

NDAは、Non-Disclosure Agreement。日本語だと"秘密保持契約"のことだよ

美咲

美咲

あ、それ、今日の問題にちょうどいい話?

拓也

拓也

うん。今回は本当に、その"NDA"がそのまま答えなんだって

美咲

美咲

資料からも繋げるの、もう職業病ね

第2幕:品質基準の取り決めのことでしょ

閲覧席で、拓也が小声でノートを広げる。

美咲

美咲

じゃあ答えるわね。これでしょ。『品質基準の取決め』

拓也

拓也

お、なんでそう思った?

美咲

美咲

だって、"契約"って言われたら、前に習ったSLAみたいな、条件を決める話かなって

拓也

拓也

SLAは、Service Level Agreement、"サービスレベル合意書"のことだったね。前にコンビニで話したSLMの回で少し出てきた言葉だ

美咲

美咲

あ、それは覚えてる

拓也

拓也

発想はわかるんだけど、実はウの説明は、まさにSLAのこと。今日の問題が聞いてるNDAは、また別の種類の契約なんだ

美咲

美咲

え、違うの?

拓也

拓也

うん。SLAは"サービスの品質基準"を決める契約。NDAは、"秘密情報を、お互いに外に漏らさないと約束する"契約なんだ

第3幕:古文書を見せてもらう条件

拓也は、資料の隣にあった古い文献のコーナーを指さした。

拓也

拓也

あそこにある貴重な古文書、研究者が閲覧するときって、そのまま自由に見られると思う?

美咲

美咲

うーん、なんか許可とか必要そうね

拓也

拓也

そのとおり。"見た内容を無断で公開しない"っていう誓約書を交わしてから、初めて見せてもらえる。これが、まさにNDAの考え方なんだ

美咲

美咲

あ……!  インターンシップのNDAも、"会社の中で見聞きした秘密を、外に漏らしません"って約束するものってことね

拓也

拓也

そのとおり。正解はイNDAは、営業秘密などを特定して、相手の秘密情報を管理する意思を合意する契約。日本語では"秘密保持契約"とも呼ばれるんだ

美咲

美咲

なるほどね……。インターン先の情報、うっかり漏らさないように気をつけないとね

第4幕:……あ、これは言っちゃダメなやつ

説明を聞きながら、拓也がふと思い出し笑いをした。

拓也

拓也

そういえば、美咲の高校時代の、あの――

美咲

美咲

……ちょっと。それ以上言ったら承知しないから

拓也

拓也

……あ、これは言っちゃダメなやつ

美咲

美咲

今の、まさに"秘密保持契約"の話をしといて、自分から破ろうとしてたじゃない

拓也

拓也

面目ない……。つい、口が滑りかけた

美咲

美咲

私との間にも、ちゃんとNDA結んでるつもりでいなさいよね

拓也

拓也

はい、肝に銘じます

美咲

美咲

……で、結局何を言おうとしたのよ

拓也

拓也

それはもう、墓場まで持っていきます

第5幕:残りの選択肢を片付ける

気を取り直して、拓也がノートに向き直る。

美咲

美咲

……気を取り直して。残りのも教えて

拓也

拓也

アの『情報システムへの脅威の監視や分析を行う専門組織』は、CSIRT(シーサート)と呼ばれる組織の説明。セキュリティインシデントに対応する専門チームのことなんだ

美咲

美咲

エは?

拓也

拓也

エの『作業を細分化し、階層構造で整理したもの』は、以前も出てきたWBS。プロジェクトの作業を分解して整理する図のことだったね

美咲

美咲

NDAは秘密保持契約、CSIRTは監視の専門組織、SLAは品質基準の取決め、WBSは作業の階層整理。……全部アルファベットだけど、意味は全然バラバラなのね

拓也

拓也

完璧な整理。この手のアルファベット3〜4文字の用語は、"何のための契約・組織・図か"を意識すると、混同しなくなるよ

問題文(再掲)

NDA に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 企業などにおいて、情報システムへの脅威の監視や分析を行う専門組織
  • 契約担当者がもつ営業秘密などを特定し、相手の秘密情報を管理する意思を合意する契約
  • 提供するサービス内容に関して、サービスの提供者と利用者が合意した、客観的な品質基準の取決め
  • プロジェクトにおいて実施する作業を細分化し、階層構造で整理したもの

まとめ:選択肢ごとの答え合わせ

選択肢内容正誤
情報システムへの脅威監視組織(CSIRT)不正解
秘密情報を管理する意思を合意する契約(NDA)正解
サービス品質基準の取決め(SLA)不正解
作業を階層構造で整理したもの(WBS)不正解

答えイ 契約担当者がもつ営業秘密などを特定し、相手の秘密情報を管理する意思を合意する契約

覚え方のコツ

古文書を見せてもらう前の誓約書、それがNDA。

エピローグ

図書館を出ると、3月の風はまだ少し冷たかった。

美咲

美咲

今日は、あんたの墓場行きの秘密が気になって仕方ないんだけど

拓也

拓也

それは、NDA案件なので

美咲

美咲

都合よく使うのやめなさいよね

拓也

拓也

善処します

美咲

美咲

……まあ、いいけど。私にもいくつか、言えない過去くらいあるし

拓也

拓也心の声

……美咲の秘密、ちょっとだけ気になるけど、無理には聞かないでおこう

美咲

美咲

なに黙ってるのよ

拓也

拓也

いや、なんでもない。……お互い、墓場まで持っていく話があってもいいよね

美咲

美咲

……そうね

夕暮れの図書館前を、二人はゆっくりと歩いて後にした。

今日のポイントおさらい

  1. NDA(秘密保持契約)=営業秘密などを特定し、相手の秘密情報を管理する意思を合意する契約
  2. SLAは、サービスの品質基準を客観的に取り決める契約
  3. CSIRTは、情報システムへの脅威の監視・分析を行う専門組織
  4. WBSは、プロジェクトの作業を細分化して階層構造で整理したもの
  5. アルファベットの略語は、「何のための契約・組織・図か」を意識すると混同しにくい

この記事はITパスポート試験 令和4年度 問5(ストラテジ系/法務)の解説です。

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